〜鍵〜
2023年6月6日。
太平洋で漁をしていた日本の漁船のレーダーが謎の反応を示した。
日本は自衛隊や学者、技術者をそのポイントに派遣し、海底遺跡(土井遺跡)を発見した。
研究によると60万年前の遺跡で、純度99.999999999%の鉄でできており、その純度故ほとんどサビは無かったそうだ。
その上、中は現在の技術を遙かに上回るテクノロジーのコンピュータが稼働しており、
その技術を研究し独占したため、日本は世界屈指の技術大国となっていた。
2030年7月28日。
土井 述明はいつもと変わらぬ日曜日を過ごしていた。
部活に入っているわけでもなく何もする事はない。
というのも彼は負けず嫌いだが努力をしない怠惰な人間で
どんな事でも1番にはなれなかったため結局何もしなくなってしまったのである。
「確か今日は親父が帰ってくるんだよな...」
父、土井 孝太郎は土井遺跡の研究の第一人者であり、
土井遺跡という名も彼の名からつけられたものだ。
土井遺跡は未だに解明できていない部分も多く、孝太郎はほとんど家には帰らない。
「ただいま!」玄関から声が聞こえた。
「述明!述明いるか〜?」
「いるよ...うっせぇな」
「述明!今日はプレゼントがあるんだ...聞いて驚くなよ...」
「なんだよ...」
どうせくだらない物だろう。
親父が今までくれた物といえば遺跡で発掘された純鉄のメガネ(なぜかレンズ部分まで鉄)や
遺跡で発掘されたテレビゲームのソフト(古代のハードなんか家にないからプレイできない)などであった。
「じゃーん! よくわからん合金の鍵☆」
やっぱりだ。
「よくわからんものを俺に渡すなよッ!!」
「いいじゃん!!父さんからの愛の...」
「いらねぇよッ!!」
「そんな... 父さんいじけて月に帰っちゃうぞっ!」
「お前の実家は月じゃなくて広島だろがッ」
「お前...なぜ俺の秘密を...」
本当に相手にしてられない。
「ま、そーゆーことで持っとけ!な? ん...?これはいい匂いだっ!ゆみー!夕飯なにー?」
母さんの名前を呼びながら鍵を俺のポケットに無理やり入れ、親父は去っていった。
こんな鍵どうすりゃいいんだろ...