表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/115

第七十六話:猛将の帰還と、大領地への旅路

「ええい、やかましいわ! 我が孫が我が騎士団に入らずして、どこへ行くというのだ! それにカイトはクラリスの従者を続けなきゃならん。どこの馬の骨とも分からん団長の下になど、一歩も出せん!」

 アカデミーの廊下に響き渡ったオズワルドの咆哮に、勧誘員たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていった。

 それを見送りながら、カイトはふと疑問を口にする。

「……そういえば、グランヴィル侯爵家って独自の騎士団があったんですね」

「何を言うか。我が領地は国境にも接しておるのだぞ? 防衛のために数千の精鋭を抱えておるわ。……ただ、儂が膝を痛めて以来、王都に留まりきりでな。代官に任せきりにしておったが……」

 オズワルドは、カイトの治療で完治した自分の脚を力強く叩いた。

「そうだ! 前期試験も終わり、アカデミーも休みになるだろう? ならば、久々に我が領地へ戻るぞ! カイト、お前の初お披露目だ。クラリスも、そしてマリーも一緒にな!」

 さも当然というように、オズワルドは高らかに宣言した。


「……という話なんだが。クラリス、どうする? 休みはメスチノに帰って屋敷でゆっくりしてもいいんだが」

 カイトの問いに、クラリスは瞳を輝かせ即答する。

「当然行きますわ! グランヴィル侯爵領といえば、この国最大の面積を誇るだけでなく、当主不在の間も完璧な統治が行われていると噂の場所ですもの。その謎をこの目で見ない手はありませんわ!」

 こうして、一行はグランヴィル侯爵領への旅路に出発することになった。


 豪華な馬車にはカイトとクラリス、そしてマリー。御者台には当然のようにランバが潜み、馬車の周囲を巨大なグレートウルフが悠々と並走する。さらに上空にはアウラが黄金の翼を広げ、護衛と偵察を兼ねて舞っていた。

「……カイト様、見てください! 領地の境界に入った途端、道が綺麗に整備されていますわ」

「ええ。それに、すれ違う領民たちの顔に活気がありますね。お爺様が不在でも、法と秩序が隅々まで行き渡っている証拠です」

 馬車の中でカイトは、流れる景色を眺めながら、自らのルーツであるこの広大な土地に想いを馳せる。

「さて……。この『素晴らしい統治』の裏に何があるのか。それとも、単に代官が優秀なだけなのか。楽しみですね」

 猛将の帰還を待つグランヴィル領。

 そこには、王都での騒動を上回る、カイトの「規格外」さを試すような出来事が待ち受けているのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ