ギルドに一般人!?冒険は最凶勇者と共に!
はじめまして、浜坂です!
雄大と優花、二人ともぶっ飛んでます。
はい……色々と。
「え?……どうして雄大君の分は、免除されないんですか?」
優花は受付さんを真正面から見据え、殺気を一切隠さない満面の笑みでそう言った。
「え、えっと……き、規則ですので……」
受付さんは声だけでなく、肩や指先まで小刻みに震えている。
――待て待て。
それ以上追い詰めるのは、さすがに可哀想すぎる。
「優花、もういいから……」
俺は慌てて割って入った。
「ギルドに迷惑かけたのは、事実だし。」
「でも雄大君」
優花は不思議そうに首を傾げる。
「自分には、関係ないって言ってたよね?」
……言ったけどさ。
「だから――」
にこっ。
さっきより一段階"圧"の増した笑顔で、
受付さんに視線を戻す。
「受付さん。お願い、しますね?」
笑顔なのに、目がまったく笑っていない。
――俺のストーカー、怖すぎるんだが。
「は、はいっ!!」
受付さんは即答だった。
「え、ええと……そ、その……」
「彼氏さんの修理費も、せ、請求致しません!!」
……ああ。
完全に俺は、ヤバい女の彼氏として認識された。
受付のお姉さんルート――
開始前に、無事消滅である。
◆
「で、では……冒険者について、簡単に説明しますね」
まだ少し震えの残る声で、受付さんは一度咳払いをした。
「冒険者に登録された方は、あちらの掲示板に貼られている依頼書の中から、ご自身のランクに合った依頼のみを受けることが可能となります」
よし、ここからはテンプレだ。
異世界モノで何度も見てきた流れ。
知ってる。分かる。安心する。
……そう思っていたのに。
ちらっと優花を見ると――
さっきまでの威勢はどこへやら、完全に魂が抜けた顔でぼーっとしていた。
おい。
数分前まで受付さんを震え上がらせていた張本人と、同一人物か?
「冒険者ランクは、基本的にFランクからAランクまで」
「そして――規格外の方のみが到達する、Sランクも存在します」
「Sランク……」
思わず声が漏れた。
……まあ、俺には一生関係ない。
分かってる。分かってるけどさ。
ああ……
チート、欲しかったなあ……
「それでは、今から適性検査を行います」
受付さんは奥の部屋を指差した。
「お二人の能力や職業、適性を測定します。
どちらから始めますか?」
「はい!私からで!」
優花が元気よく一歩前に出た。
無邪気で、無防備――
……逆に、怖い。
「で、では……こちらの水晶に手を当ててください」
優花が水晶に触れた、その瞬間。
――カッ。
視界が白く染まるほどの、眩い光。
「えっ……!?」
受付さんの声が、完全に裏返った。
同時に、水晶の横に――
見慣れない文字列が、ゆっくりと浮かび上がる。
◆
姫路 優花
ジョブ:勇者
物理攻撃:A
物理耐性:A
魔法攻撃:B
魔法耐性:A
素早さ:A
知性:ERROR
協調性:F
◆
「……え?」
空気が、固まった。
「え、えっと……知性が……エ、エラー……?」
「え?それって何ですか?」
優花は無邪気に首を傾げる。
受付さんは水晶と用紙を何度も見比べ、冷や汗を浮かべながら口を開いた。
「本来は数値で表示される項目なのですが……」
「今回は……倫理観が欠如しているため、測定不能です」
「へぇ〜!」
へぇ〜じゃねぇよ。
それ、もう勇者の皮を被った災害では?
「そ、それと……協調性がFですね……」
「大丈夫です!雄大君がいるので!」
その瞬間、受付さんの視線が、ゆっくりと俺に向いた。
やめろ。
こっちを見るな。
巻き込むな。
「……スキルは、剣術レベル1」
「間違いなく……勇者、です……」
語尾が、完全に自信を失っている。
「ありがとうございます!」
優花は満足そうに一礼した。
――そして。
「で、では……次は雄大さんですね……」
嫌な予感しかしない。
水晶に手を当てる。
光は――控えめだった。
受付さんは結果を見て、言葉を探すように一瞬黙り込む。
「えと……ジョブは……配達員、です」
……ん?
「俺の空耳ですよね。まさか配達員な訳――」
「配達員です!」
食い気味に訂正された。
「…………」
「いや、せめて戦闘職にしてくれよおお!!」
もう日本に帰りたい。
「能力の方も……ほぼ、平均的ですね」
ですよね。
配達員だもんな。
「ただし」
受付さんが、もう一度水晶を覗き込む。
「素早さだけが……Sです」
「S?」
「規格外、ですね」
「スキルは……疾走レベル1」
「……つまり?」
受付さんは、ほんの一瞬だけ目を逸らしてから告げた。
「はい」
「足が速いだけの一般人です」
フォロー、ゼロかよ!
「おおー!すごいね雄大君!」
優花がぱちぱち拍手する。
「配達、いっぱいできるね!」
……嬉しくねぇ。
◆
「こ、こちらが……お二人のギルドカードになります」
受付さんが差し出した、小さな金属製のカード。
そこには、名前とランクが刻まれていた。
「Fランク……」
まあ、そうだよな。
「依頼を達成するごとに、ランクは昇格します」
「FランクからEランクへは、依頼を五つ達成すれば可能です」
五つか。
思ったより、現実的だ。
「五回くらい、この聖剣があれば楽勝だね!雄大君。」
優花が、見せつけるように聖剣の柄を握る。
「あはは!そうだな!聖剣でパパっと終わら――」
「いや、待て。」
「その聖剣、扱えないだろ!! 」
「この自称勇者ああああ!!」
「え、そうだっけ?」
ドヤ顔で首を傾げるな。
……早速、不安だ。
この冒険者生活。
――今から入れる保険とか、ありませんか?
生命保険とか。
できれば、異世界対応のやつで。
読んでいただき、ありがとうございます!
適性検査は、まさかの結果でしたね。
次回、二人は初依頼を無事に達成できるのか、お楽しみに!




