開始数分で詰み!?異世界はストーカーと共に!
はじめまして。浜坂です!
ギャグ寄りの異世界コメディです。
気楽に読んでもらえたら嬉しいです。
「――異世界に転生させてあげます♪」
その一言で、俺、神戸雄大の人生は、説明不足のまま強制終了した。
「ちょ、待て待て!能力とかは!?チートとか!!」
「ありません♪」
「……は?」
あまりにも即答だった。
俺の希望を断ち切るスピードが、プロの仕事すぎる。
女神は、にこやかな笑顔のまま続ける。
「その代わり、ちゃんと強力な助っ人は用意してありますので」
――その言い方、絶対ロクなやつじゃない。
「……で、俺は何をすれば?」
「ちょっと異世界まで行って、魔王討伐してきてください♪」
「ちょっとのノリで言うな!!」
俺の悲鳴を完全スルーして、女神は満足そうに頷いた。
「では、説明は以上です!」
「質問は受け付けてません♪」
「待て待て待て!助っ人って誰――」
最後まで言い切る前に、女神は軽く手を振る。
「良き異世界ライフを〜♪」
視界が、真っ白に歪んだ。
「ふざけるなああああ!!」
――こうして俺は、
何一つ貰えないまま、異世界に投げ捨てられた。
◆
目を開ければ、見知らぬ世界にいた。
石造りの街並み。
行き交う馬車。
耳に届く、人々のざわめき。
「……異世界、か。」
空を見上げて、溜め息をつく。
「まさか本当に転生させられるとはな……」
よくある中世ファンタジー世界。
ビルも電柱もない街並みに、胸がざわつく。
「すげぇ……」
思わず声が漏れた。
美男美女ばかりの人混み。
獣人、エルフ、見たことのない種族まで普通に歩いている。
アニメ好きな俺としては、
思わずテンションが上がってしまう。
「異世界、想像以上だな……」
――意外と、やっていけるかもしれない。
それに何より。
「ストーカーと、さよならできたの、最高すぎる!」
心からそう思った。
……一瞬、想い人の顔が脳裏をよぎったが、すぐに振り払う。
「……真緒と会えないのは残念だけど」
その瞬間。
――背中に、嫌な気配を感じた。
「……ん?」
振り返りたい。
けど、振り返ってはいけない。
俺の勘が告げる。
……いやいや、考えすぎだよな。
そうだ。
あの強力な助っ人は、どこだろうか。
◆
「やべ……迷った」
気づけば、三十分。
見事に道に迷っていた。
「どうすんだよ……」
見知らぬ人に話しかける勇気?
コミュ障の俺には無理だ。
その時――
「やっと見つけた!雄大くん!」
背後から、聞き覚えのありすぎる声。
「……え?」
恐る恐る振り返る。
そこに立っていたのは――
黒髪ロングの見覚えしかない美少女。
しかも、重そうな何かを、地面に引きずりながら。
「……なんで、姫路優花がいるんだ?」
一瞬、頭が真っ白になる。
幻覚だ。
そうに違いない。
だって――
「ついてきちゃった♡」
「……」
目を擦るが……消えない。
「普通、異世界までストーカーしてくる!?」
「だって彼女の私が、雄大くんと離れ離れなんて無理だもん!」
頬を赤らめながら、優花は言葉を続けた。
「だから、女神様にお願いしたの♡」
嫌な汗が背中を伝う。
「まさか……」
「うん!私だよ、雄大くんの助っ人!!」
――終わった。
俺の異世界人生、開始数十分で詰みかけている。
◆
視線を落とすと、黄金色に輝く剣が目に入った。
「……その剣って」
「聖剣だよ!女神様から貰ったの!」
ズルい。
俺は何も貰っていない。
「勇者になったから、私が雄大くんを守るね!」
優花は胸を張り、堂々とした口調でそう告げた。
いや、そのセリフ、
俺が可愛い女の子に言いたいやつ!
それより。
「なんで、その剣……引きずってるんだ?」
「あ〜……それはね……」
視線を逸らし、もごもごと呟く優花。
彼女は聖剣の柄を両手で掴んだまま、
なぜか地面を見つめている。
……嫌な予感がした。
「……重くて、持てなくて」
「……え?」
「だからね!」
「この聖剣、重すぎて私じゃ扱えないの!!」
真顔だった。
冗談じゃない、ガチのやつだ。
「はあああああ!?」
俺の助っ人、
ぽんこつ自称勇者(兼ストーカー幼なじみ)だった件。
「キャラ盛りすぎだろ!!」
こうして俺の異世界ライフは、
開始早々、完全に詰みかけていた。
しかも、このぽんこつ勇者――
まだ序章にすぎない。
次の災難は、もう目の前に迫っている。
読んでいただき、ありがとうございます!
雄大の異世界ライフ、いきなり困難に直面……というか、助っ人がぽんこつすぎてもう大変です。
次回、二人がどんな珍道中を繰り広げるのか、お楽しみに!




