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最悪

寂れた廃工場に金切り音がこだまする。


「接近戦なら勝てると思ったの?」

「勝てねえ勝負なんてすっかよ」


ナイフでの斬り合いをしているのは湊と桜庭。テレスコピウムも殴り合いで応戦する。


「チッ」


互いの実力はほぼ互角だが桜庭が斬られ始めた。身体からは鮮血が舞っている。


「よっと」


そのタイミングで湊がバックステップで後ろに下がる。だがそれを桜庭が意地でも追う。


「どこ行くんだよ」

「なに?ストーカー?」


そして再びナイフでの斬り合いだ。先程の斬り合いから、湊は奇妙な違和感のようなものを感じていた。「俺は2本のナイフ、対してこいつは一本だ。手数もスピードもパワーも俺のほうが完全に上だ。なのに完全に詰め切れない…あの化身のせいじゃない。こいつが俺と亘り合っているのか?何故か対応される。まるで、未来でも()()いるかのように」

時同じくしてテレスコピウムも桜庭の覚醒に気付き始めていた。「間違いない。陽翔は視ているな、俺と同じ景色を」

星の子とその化身が使う能力は同じだ。これに例外は存在しない。ただ一つ違うこと、それは、星座の化身は能力を120%引き出せるということ、これは星の子の場合必ずしもそうではない。つまり桜庭がまだ使えない力もテレスコピウムは使える。望遠鏡座の能力それは「()る」能力。見るという行為は何も視覚能力を強化するだけの能力ではない。未来を視るという事を可能にするのである。桜庭にもその能力が開花し始めている。


だがあくまで見えるだけの話。再び桜庭から血飛沫が舞う。テレスコピウムの手助けはあれど、湊の圧倒的な手数とスピードに完璧に対応できるわけではない。


「そろそろ終わりでいいかい?」


湊が心臓を目掛けて突きを放つ。


桜庭はそれを外す。

「分かる。なんで分かるかは分からねえけど何故か分かる。」

未来が視える能力がある事を桜庭知らない。ただ不思議なこの感覚に、桜庭は委ねることにした。

「かと言って押してるわけでねえ。このままじゃ押し負ける。」

桜庭はテレスコピウムから既に港の能力の弱点を聞いていた。湊が扱う蟹座の能力。それは「斬撃と防御」湊は2つのモードを使い分ける。「鋏」状態では斬撃を放つ。その斬撃は視認できない飛び道具となる。「甲」状態では自分自身を硬化する。そしてあらゆる攻撃を無効化する。弱点は主に3つ。「鋏」状態の時、両手が空いていないと斬撃を放てないこと。「甲」状態の時、硬化している時はあまり体を動かせないこと。そしてこの2つのモードは両立し得ない事。湊に距離を取られると斬撃を放たれるため、桜庭とテレスコピウムは徹底して近接戦を仕掛ける。だが湊は、それに気づき始めていた。

「やっぱり、意図して近接を徹底されてるね。俺の能力に気づいてる?さすがにあの化身のせいか…なら」相変わらずナイフでの斬り合いが展開される。


「まだ続ける気?」

「ああ、いくらでも付き合ってやるよ!」


「粘ってれば四条パイセンとか五十嵐パイセンが戻ってくるはず…それまで耐える!」桜庭の作戦は理にかなっていた。だが、先に仕掛けたのは湊だった。


「そろそろ飽きただろ!」


そう言って湊は2本のロングナイフを同時に地面に突き刺した。その様子に桜庭は困惑する。

「なんだ…?何が来る?両手…空いた…?斬撃…!じゃあ、打たれる前に潰す!」

この時既にテレスコピウムは視えていた。次に起こる最悪を。

「まずい…!」

テレスコピウムが止めに入ろうとしたその瞬間だった。


「…!?」

「シュゥ…」

「ぐぉ…」


テレスコピウムは、背後から刀で貫かれていた。テレスコピウムの背後に立っているのは姫宮だ。星座の化身は外傷によって死ぬ事はないが、核を破壊されればその機能は一時的に停止する。核の位置、それは人間と同じ心臓。


それと同時。桜庭がナイフを振り下ろす。

ガキィィン!!

だがそのナイフは鈍い金属音を立てて弾き返された。勢い良くナイフを叩きつけた桜庭に隙が生じる。既に湊は「甲」状態を解除していた。

バチィィッ!!

その斬撃はもろに桜庭を捉えた。超至近距離での斬撃。それは容易に、命を刈り取る威力だった。


「勝負ありかな」


桜庭はそのまま仰向けで地面に伏した。その瞬間だった。


「ああ尊きジェミニよ我々にその御力をお貸しください」

「へえ…まだやる気なんだ」


背後の陣から現れたのは、四条だ。


「まだ決着は着いてない…と言いたい所だがな… !」


四条は湊を通過して桜庭を抱える。


「さすがにそうはさせな…!」


次の瞬間辺りが白煙に包まれる。

「煙幕…あの金髪女が持ってたのか…でも行先は分かってる!」

湊は四条が出てきた陣の方向に向けて斬撃を放つ。斬撃の風で少し晴れた煙の先に四条と桜庭はいなかった。

「もう逃げられた…、いや違う。」

四条は"終点"を定義していたもう1つの陣に向かっていた。そして取り出したのは、スマホだ。スマホから音声が再生される。


『ああ尊きジェミニよ我々にその御力をお貸しください』


湊は音に反応して斬撃を飛ばすも、既に陣の上には誰もいなかった。


「逃がしたな。どうするつもりだ。」


姫宮が湊に冷たく問う。


「……謝る」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回の更新は1/18(日)です。

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