「舞い降りる」
夜空に輝く無数の光。人類はそれを"星"と名付けた。星と星を繋ぎ"星座"が誕生した。星座の起源は今から約5000年前。シュメール文明まで遡る。人々は星々に命を与えた。輝きとして夜空に生きる命を。しかし人類は知る由もなかった。それから約4970年後。現代から数えて30年前。神が現れ、本当に星座に命を与えてしまうなどと言うことを。神の名はゼウス。彼は夜空に昇る88星座をこの地球に解放した。解き放たれた星座たちは化身となり、新たに生まれてくる人に憑依し、力を貸した。そして現代の人々は星座の力を持つ者をこう名付けた。"星の子"と。
「なあ、テレスコピウムさんよぉ」
「どうした人の子よ」
「俺の身体能力とお前の力だけでこの状況から抜け出せられるか?」
「………無理だな」
「だよなぁ、」
1人の少年が星座の化身と話しながらぽつりと呟く。周囲は既に男たちに包囲され、逃げ場は無い。
「いいか?よく聞け。もう一度だけ言う。今すぐ我々に着け。さもなければ今すぐここでお前を殺す。俺は聞き分けの悪い奴は嫌いだ」
長髪で赤髪の男が銃を突きつけながらこちらに言う。その目は冷たくいつ殺されてもおかしくはなかった。
「やだね!俺は星河団なんかには入らねぇ!!」
そう啖呵を切ったのは良いものの、既にこちらには勝ち目はなかった。もう桜庭は覚悟を決めていた。「星河団に入るくらいなら死んだ方がマシだ」と。
「そうか、残念だ」
そう言って赤髪が引き金を引こうとした、その瞬間だった。どこからともなく馬が駆けるような音がした。赤髪が一瞬驚き、動きを止めた。そして瞬きの間に赤髪は謎の男に蹴っ飛ばされていた。赤髪が激しく吹き飛ぶ。周りの男たちは慌てて銃やらナイフやらを抜いたが遅かった。謎の男は圧倒的なスピードと体術で次々と男たちをなぎ倒していく。そのうちの一人が謎の男目掛けて発砲したが、それを悠々と交わして首元に回し蹴りを叩き込んだ。桜庭の理解が追いつかないうちに男たちを倒し切ったのだ。
「今回は命までは取らんが、次も見逃してやる保証は無いぞ」
謎の男が倒れている男たちに言い放った。
「怪我は無いか?」
謎の男がこちらに優しく問う。それと同時だった。謎の男の遠くから炎を纏った斬撃が2本こちらに飛んでくるのを桜庭の目が捉えた。赤髪が吹っ飛ばされた方向から攻撃が飛んできていたのだ。
「後ろ!!」
桜庭が叫ぶ。攻撃に気づいた謎の男は咄嗟の判断で桜庭を抱えて翔ぶ。斬撃を華麗に躱し、ひらりと中に舞った後、ゆっくり降下しながら赤髪に問う。
「なぜこの子を狙う」
赤髪がそれに答える。赤髪の手にはいつの間にか刀が握られていた。
「そいつは星の子だ。全ての星の子の統率、それが我々、星河団の目的だ」
それを聞いた謎の男は、少し呆れた表情をした。
「やはりそうだったとはな。我々流星軍はそれを認める訳にはいかん」
赤髪の男はそれを聞くや否や、刀を正眼に構えた。
「ならば力ずくでそいつを回収する」
「望むところだ!…と言いたいところだが、生憎今日は勝負しに来た訳ではないからな」
そう言って謎の男はもう一度桜庭を抱えて翔んだ。そして空気を切り裂かんばかりに空中を駆け出した。そう、赤髪から桜庭を抱えて逃げたのだ。逃げる途中抱えている桜庭に向かって色々と問う。
「さっきの野郎は俺のスピードには着いて来れないから、もう安心していいぞ。」
事実、赤髪はもう追ってきていなかった。赤髪は逃げる二人を見つめながら
「まあいい、次見かけた時にでも捕らえるとしよう」
そうぽつりと呟いて、倒れている男たちを横目に颯爽と帰っていった。
赤髪の男を巻いた事を桜庭が確認して、謎の男に伝えると、謎の男は着地して桜庭を下ろしたあと、歩きながら語り出した。
「お前、星の子なんだってな。うちの組織にも属してないし、政府の奴か?」
「ちげぇよ、俺はどの組織にも属してねぇ!」
謎の男は少し虚をつかれた表情をしたが、少し間を開けて再び喋りだした。
「なら、うちの組織に来るか?悪い待遇では無いぞ?」
「いいのかよ、俺はまだ15だぜ?」
「構わんさ。その感じだとお前、星河団だけじゃなくて政府にも追われてるだろ?」
「大正解ー」
「俺たち流星軍の目的は星の子の秘匿と適正利用だ。たとえ未成年でもそれは変わらんさ。安心しろ、ちゃんと働いてくれるなら給料も出す。」
桜庭は考えていた、星の子としてこの世界に居る限りは相当な実力が無いと、どこの組織にも属さないなんてのは難しい。この世界には主に3つの組織が星の子を募っている。「政府の組織か流星軍か星河団。どれか選べって言われりゃあ流星軍しかねぇな。」桜庭は心の中でそう思った。何より、この流星軍を名乗る謎の男の言葉には妙な説得力があった。
「決めたぜ、俺を流星軍に入れてくれ」
「よく言った。だがまあ、面接がまだだし、そもそも入れるかも分からんがな」
そう言って謎の男は笑い出した。
「えぇ…?」
と桜庭が困惑していると。
「なら今から面接だな。事務所に着いたら俺がまず、小野さんに連絡を入れる。小野さんから合格を貰えたら、晴れて俺たちの仲間入りだ。」
桜庭は小さく「うっす、」と言葉を返した。
「そういえば名前をまだ聞いてなかったな、お前名前は?」
「桜庭陽翔。太陽の陽に飛翔の翔で陽翔だ。アンタの名前も教えてくれよ」
「俺は黒瀬仁。よろしくな陽翔。あと、俺はお前の2個上だから敬語使えよ〜」
「お前も未成年じゃねぇか!!」
「敬語忘れてるぞ」
急に馴れ馴れしく呼んできた上に急に敬語を使えだなんてと思ったがまあこう言うもんだと思って納得した。そうこうしているうちに事務所に着いたらしい。
「ここだよ」
そう言って黒瀬は足を止めた。が、そこにはボロい一軒家しか無かった。
「もしや黒瀬パイセン、俺のこと騙したな!?流星軍の事務所がこんなボロい一軒家な訳ねぇよなあ!!」
桜庭が声を張り上げる。
「まあまあ、落ち着けよ。中に入れば分かるさ」
桜庭は疑心暗鬼だったが、命の恩人でもある相手には素直に従う事にした。中に入ると大きなエレベーターが1つあった。あの外見から察するに、このエレベーターがこの建物の殆どを占めている事は明らかだった。
「このエレベーターは地下に繋がっている。そこが俺たちの本拠地だ。」
黒瀬と一緒にエレベーターに乗り込む。エレベーターは確かに地下に向かっているようだった。
「俺たち流星軍は政府や星河団やらに追われてる組織だ。だから表の建物はボロ屋で隠して、地下に施設を造ってるんだ」
黒瀬はそう話終えると、何やら電話をし始めた。相手はどうやら先程話していた「小野」という人物らしい。
「着いたよ」
エレベーターの扉が開くと、そこには先程のボロ屋からは想像もつかないほどの高級そうなカーペットやら、白い壁やらが広がってた、かつての西洋を彷彿とさせる荘厳な造りだ。桜庭が目を奪われているところに黒瀬が言葉をかける。
「さっきも言ったけど、今から面接だ。手前から数えて3番目の右の部屋に行くんだ。俺は外で待ってる。まあ気楽に行ってこい!」
そう言って黒瀬は桜庭の背中を軽く叩いた。
「ありがとな、黒瀬パイセン!これからもお世話になるぜ!」
桜庭はそう言ってゆっくりと歩いて行った。決意を固めたその瞳には信念が宿っているようだった。
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次回は未定です…




