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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

監禁したはずなのに、どうしてこうなったのかを答えてくれないか?

作者: 春川 歩

これはフィクションです、実際に監禁とかしたら捕まりますので、絶対にやらないでください。

犯罪行為を推奨する目的で書かれては居りません、あくまでギャグとしてとらえてください。

こんなことが実際に合ったら普通に怖いですので、絶対にやらないでください。

想像だとちゃんと理解したうえで読んでください、書かなくても良いとは思いますが、念のため。

俺は、焦がれていた相手を監禁することに成功した。


ずっとずっと、手に入れたくて、遠くからしか見られなかったのを、ある日拉致をして、自分の家に連れて帰ることに成功した。


まぁ、拉致とは言っても物騒なことはしていないし、相手の合意がなぜか得られたため、謎だが家の中に連れて来ることができた。


そして、そのまま食事をしながら話をし、睡眠薬入りのソーダを飲んだそいつはぐっすりと寝て、その間に俺は特別な部屋に閉じ込めたのだ。


色々と穴はあるが計画して行ったそれは、案外すんなりと完了してしまい、俺の事を相手も好きなのかと思ったが、そういうわけではないらしい。


だから、暫くは俺の事だけを考えるように、俺しか見なくなるように仕向けて行って、そのまま体も心ももらえるものなら欲しいと思う。


まぁ、どうせ心など手に入らないだろうから、体だけでも手に入れようと思ってこんなことをしたのだが。


今の俺はとても充実している、今日は素晴らしい日だ。


@@@

















「……、なぁ、どうして監禁されているのにそんなにのんきにしているんだ?」


俺は、焦がれた相手、ソラに尋ねた。


ソラはこちらを横になりながら見ている、片手で頭を支え、ポテチを食べながらである。


その足には足かせがあり、ベッドの上とトイレ以外には行けないようになっているはずなのだ、どうやってもお菓子を取りに行くことなどできないようになっているはずなのだ。


「んー、実害ないし?」


そういって、支えているほうの手とは反対の手でケツをかき、そのままおならをするという、なんとまぁ監禁した俺の事を舐めた感じに見てるのだが、それを気にしないように眉間を押さえる。


現在監禁生活一週間経過、相手はこちらを警戒するでもなく、だからといって友好的?な様子……、で迎え入れてくれたのかもわからない、そんな様子で日々を過ごしていた。


「俺はな?お前の色々なところが気に入っているんだ、その儚げな目や美しいブロンドの髪、神々しいまでの造形をした顔、均整の取れたすばらしい肉体、それでいて見た目の割に大胆で案外肝が据わっているところ、色々だ。

ほかにも様々ないろんなところが好きだから、もしかしたら自分の悪いところを見せれば幻滅して、開放してくれるかもとか思っているのかもしれないが、そんなことは一切ないからな!」


俺がなぜか床に正座で座り、ベッドの上にいるソラに指を突き付けると、相手は鼻で笑った。


「ハッ、それなら、ずっとここにいて見ている位の気概を見せろ、ストーカー野郎。」


煽るようにこちらを見て、そのままポテチを食べ続ける相手を見ても、やはり愛おしいなという気持ちと、自分の覚悟を試されているのかという気持ちが同時に起こり、俺は怒った。


「ふ……、フフフ……、そこまで言うなら、今までつけていなかったものをつけてやろうじゃないか……。」


この部屋にはまだ監視カメラが無い、つけるのを忘れたからだ。


だが、相手もこういっている。だったら、全てを監視するためにあれをつけてやろう。


そう思い、電気屋へダッシュして買って来たもの、それは。


「お前には、ずっと見られている恐怖を与えたほうが良いな。」


子供やペットのための見守りカメラ!かなり高画質でエネルギーは電源だが、カメラが回るとても優れもの!音もしっかりこちらに聞こえ、更に言えばこちらから話しかけることもできる!


俺が帰ってくるまでに、いつの間にかに取って来たのか、コーラのボトルと専用のコップ、ポテチの追加を食べていたソラが、こちらを一瞥して一言。


「まぁ、勝手にしろ、俺の生活が見たいなら、勝手に見ていりゃいい。」


それも鼻で笑いながら言われたため、即設置した後に指を突き付ける。


「お前が監禁しているというのに、どこかからか持ってくるお菓子やジュース、その他さまざまなもの!それらの理由と、おまえの一日をずっとここで監視してやるからな!」


そんな風に言い、その日からソラの観察が始まったのだ。


@@@


(……、にしても、俺が仕事しているときのソラって……、何しているんだか、案外知らないんだよな。)


監禁部屋には監視カメラが無い、なんだったら盗聴器もない、相手が嫌がって叫んだり、泣いたりしているのを聞きたくなかったからだ。


全ての姿を知りたいという割には案外純粋に相手の事が好きな俺、ソラの嫌がることはしたくないし、結構不自由ない生活をさせてはいたりする。


にしても……、鎖があるのに、あいつはどうやって部屋の中にある戸棚の中のお菓子や冷蔵庫のジュースを持って行くことができるのだろうか。


最初、調教のつもりであいつが好きなお菓子やジュースがある場所までは届かない鎖をつけ、俺が帰ってきた時にねだるようにしたのだ。


相手が俺の事を少しでも信用するように、地固めのつもりでおいたそれらは、数日間はそれでよかったが、いつの間にかにソラはそれらを取れるようになっていて、今では自由に飲食が可能となっている、足かせはつけてられているはずなのだが。


なんだったらあいつ、「あのさぁ、他にも食いたいからなんかお菓子のレパートリー増やしてくんない?」とかのたまってきたのだ。


その謎をずっと放置してきたが、今日、その理由が明かされる!


そんな気持ちで何の気なしに見る監視映像、そこには俺がいるときと同じ自然体のソラがいた。


『くぁ~……、暇だなぁ。』


そんなことを言いながらベッドの上で大人しくしているソラ、監視されているはずなのに、元から肝が据わっているせいなのか全く動揺を見せない。


(ふん、どうせいつかは飽きるだろ的な感じで俺が見るのを飽きるのを待っているんだろう……、だがなぁ、俺だって恋心を拗らせた身!そうやすやすと見放すものか!)


なんだか、監視しているのにそんな気持ちになっている俺は、ソラを信用していないのだろうか……、いや、監禁している時点で信用していないんだろうな。


『おーい、ストーカー、聞こえてるかー?』


そんなソラの声にドキッとする、家にいるはずの相手から仕事中にいきなり話しかけられたようなものだ、本当にそのままの事なのだが、正直、理想的な状態で興奮するが、それでも話しかけることはしない。


俺は俺がいない時のソラが気になっているからな!


『……、見ていないのか?』


起き上がって首を傾げているソラ、あぁ、なんて可愛らしいのだろう!やはり、自分の家にいる思い人というのは素晴らしいな!


そのまま食い入るように画面を見て、その後も俺の事を呼ぶソラの事を見続け、感動を覚えながらも黙っている。


『……見てねぇようだな。』


そういって、ソラは行動を始めた。


足首にある枷にどこに隠していたのかわからない何かを使い、暫く小さな音を立てた後、そのまま立ち上がったのだ。


(やっぱり、あいつ鎖外してやがったのか!)


頭がどんどんと冷えていく、そして、そこから湧き上がる怒り、裏切られたかのようなそれが腹立たしく、俺は怒りで目の前が真っ赤になった。


ソラはそのまま戸棚へと行き、自分好みの菓子とジュース、コップを手に取った後、なぜかこちらに来た。


それを不思議に思っていたら、そのままカメラの前に座り、袋を開封し、ジュースをコップについで、こちらに話しかけてきた。


『どうせ見ていないかもしれないけど、暇だから適当に話してるわ。』


そんなことを言った後、ソラはのんきに菓子を食べながら話始めた。


その話も、最近の事ばかりで、あの菓子美味しかった、あのジュースまた飲みたい、あれ食いたい、あれやりたいと好き勝手に言っている。


まるで、俺がいるかのように。


『……でさ、お前が暇な時にこっちみて話しかけてくれたら暇が潰せるなって思ってさ。』


そんなことをバリバリとポテチを咀嚼しながら言うもんだから、思わず吹き出して答えてしまう。


「っくく、そんなの、あとで食わせてやるよ。」


相手に言うつもりはなかったのに、いつの間にかに入っていたマイクで相手に伝わったのだろう、相手が驚いた顔をした後に笑顔になった。


『……あぁ、楽しみにしている。』


なんか、遠隔で自分の思い人と話せるっていいなって、謎に感動しながら震えるが、それでも相手に言わねばならない。


「だけど、お前はやってはならないことをしたの、理解しているのか?」


そんな言葉に、相手は普通に不思議そうな顔をする。


『?なんだ?』


全く理解していない顔をしているため、それに腹が立ち、そのまま話しかける。


「おまえはどうして鎖を外している、俺はベッドの上にそれをつけたまま居ろといったんだ。


それを破ったお前には、あとでお仕置きをしてやるからな。」


恐ろしい声を出していったはずのそれを、相手はキョトンとした顔をした後に、少し笑顔になって答える。


『今日のごはん、激辛のカレーにしてくれ、お前のカレー好きだから。』

「ん゛ん゛っ!わかった!」


あまりに可愛らしすぎるその言葉に、思わず頷いてしまう、そのカレーは俺が丹精込めて作った愛情たっぷり()カレーなので、普通にとてもうれしい。


『たまには、お前にもなんか作ってやるから、楽しみにしておけよ。』


そんな言葉を不思議に思いつつも、そう言われて嬉しくなった俺は、普通に頷いてしまった。


「あぁ、楽しみにしている。」


どうせ、あとで折り紙を折るとか、工作をして作ったものをくれるとか、そんなもんだろう。


そんなことだろうと高をくくった俺は、監視という名の恋人との通話を楽しみながら、仕事をしたのだった。


@@@


今日も俺は仕事だ、いつも通りにソラの事を監視し、何も知らない何も聞いていないふりをしている今は、ソラがこちらにただ話しかけているだけの一方的な状態だ。


『……、今日はずっと一方的に話してるけど……、おまえいないのか?』


かなりの日数立っている今、淋しそうなソラの顔を見ながら黙ってソララジオを聞いていた俺は、笑顔でその様を見ていた。


『……、じゃ、やってみるか。』


そんな言葉と共に、最近は既に何も思わなくなってしまった鎖から解き放たれているソラが、見守りカメラに手を伸ばし、暫くがちゃがちゃしたと思ったら突然画面が暗くなった。


「あ……あいつ!なにしてんだよ!」


電源が切れたのだろう、真っ暗になったそれに焦りつつ、裏切られた気がした俺は、イライラしながらあとでどんなことをしてやろうかなんて、色々な思考が頭をよぎった。


(あいつの足を切るか?完全にベッドから動けないように……、いや、今こそわからせるのもありだな、あいつはずっと俺が優しくしてくれると思っているから、あんなことをするんだ……。


絶対に、許さない。)


そんな感じにイライラしていたら、ブッと音が鳴り、画面がついた。


(!?……画面が、ついた……?)


不思議に思い、画面を凝視する、しかし、その画面はつい先ほどとは違うところにあり、ソラが動かしたことは確かだった。


(なんだこれ……、多分ベッドの上だな。)


画面のはしに、ソラが使っている枕らしきものがあるのが見えた、そして、いきなり画面いっぱいにソラのドアップが来たため、思わず驚いて叫び声を上げてしまう。


「どっぎゃっ!?は!?ご尊顔素晴らしすぎて画面が発光してる!」


そんな限界オタクのような事を叫ぶと、カメラのレンズを見たのか、ソラがこちらに笑いかけて来る。


『あぁ、そこにいるのか。』


なんか、そんなファンサありなんすか?え?自分の恋人、ファンサすごいな?アッ顔面国宝……、素晴らしい世界……、人生に感謝……。


そんなことを考えていたら、手が伸びて来る、何されるのかと思ったら、まるで頭を撫でるかのように腕が動き、イマジナリー頭なでなでを喰らって、俺は死んだ。


『俺、今から寝るから、そこで見ていたいなら見てろ。』


そんなことを言って、ソラはそのままもぞもぞと寝心地のいい場所を探した後、そのまま寝始めた。


その寝顔はとても無防備で、とても愛らしく、仕事中であるというのにスクショを取りまくって笑顔になった。


その後の俺は、仕事がはかどりまくり、起きたソラがこちらに話しかけてきた時には嬉しすぎて泣いた。


なんか、このまま死んでもいいまである。


そして、一時的に画面が消えた後、いつも通りの場所に置かれたカメラは、そのままソラの姿を映していた。


@@@


最近では、ソラが頻繁に電源を引っこ抜いて好きなところに設置し、俺と一緒にいるかのような笑顔で話しかけてくることが多いため、仕事中だがとても笑顔になってしまう。


今日も鎖を抜け出して、ソラが電源を引っこ抜き、俺が買って来たポータブル電源に繋いだ上でこちらに話しかけて来る。


『そういやさぁ、今度ストーカーと一緒にデートしてぇんだけど、リスナーのみんなは、そういったこと考えたことねぇのか?』


その言葉に、今日のソララジオはそのネタなんだぁ~♡と思いながら、音声で投稿するつもりでメッセージを寄せる。


「ラジオネーム、ストーカー。


お昼にメッセージ失礼します。

こんにちは、いつもソララジオをきいて癒されているストーカーです!

ソラさんは監禁されているって聞いていますから、流石にそこから出ていくのは相手が悲しむと思いますので、やらない方がいいと思います♡

それに、きっとそのストーカーさんはお仕事で忙しくって、それどころじゃないし、あなたが部屋にいてくれるのが、一番うれしいと思います!

毎日耳を楽しませてくれてありがとう、今日もラジオ、がんばってください。」


俺がそう言ったら、ソラは嬉しそうに答えてくれる。


『ストーカーさん、メッセージサンキューな。


だけど、俺としてはそいつといろんなところに行ってみてぇし、なんだったらそいつの作ったご飯を持ってピクニックとかも行ってみてぇなって、思ってんだ。


部屋の中は別にラジオしてっから暇じゃねぇけど、如何せん情報がねぇ、話題作りにも一緒に出掛けんのがいいって思ってたけど、それが難しいってことはわかった。』


そんなことを考えてくれていたのか……、俺はそう思って、心がキュンとしたし、温かくなるのを感じた。


俺の恋人がこんなにも可愛い、そんなことを考えていたら、一つ気になる話題が出た。


『だから、このカメラを持って疑似デートに行こうかと思ってんだ。


どうせ仕事ってんなら、行けなかった分、俺と一緒にデート行った気分になるようにこのカメラと行動を共にすれば、そいつもデートした気になんだろ。』

「てめぇ!カメラと浮気する気か!?許さねぇからな!?」


笑顔でそんなことを言う恋人に向かって、監禁している意味を忘れているのだろうかと思ったので、俺は語り掛ける。


「俺はなぁ、お前の事を誰にも見せたくないんだよ……、外の汚い物を見てほしくないし、外の汚い空気に触れてほしくない……、お前がけがれるのが嫌なんだ……。


わかってくれ……。」


懇願にも近いそれは、どうやらしっかりとソラに届いたらしい、相手から声が聞こえて来る。


『あぁ、ストーカーが俺の事を大切に思っていることは知ってんだが、如何せん話のネタがねえ。


話題を持ち帰りたいんだ、そうしたら、お前だってこのソララジオを飽きずに聞いてくれるだろ?』


そんな健気な心に撃ち抜かれ、記憶を無くした俺は、いつの間にかに退社をして家に帰っていた。


普段は残業をして帰ってくる俺が定時退社して帰って来たのを驚いた顔をして見てきたソラは、ベッドの上に居て、その足にはしっかりと鎖が繋がっていた。


こいつの、こういった律儀なところ、好きだなぁ。


@@@


今日の俺は少し席を外していたため、一体何があったのか暫く理解できなかったんだが、どうやらソラはいつの間にかに家から出たらしい。


画面に外の風景が映っていた。


「…………………………は?」


俺がそれを言うと、かなり大きな音量でソラの声がした。


『おっ!ストーカー、デートするぞ。』


そんなソラの大きな声に驚き、少し音量を小さくしてからカメラを操作して辺りを見渡そうとしたら、なにやら画面を覆っている線のような面のようなものが大量にあり、そして、なにやら肌色がすごい近い事に気が付いた。


「これは……、ソラの肩?」


思わずそう言えば、ソラの笑い声が聞こえて来る。


『なんだ、もう気が付いたのか。




そうだ、お前は俺の肩に乗っている。』


そんな、とんでもない至近距離からのソラと、外の景色に頭がバグり、処理落ちをしかけた頭と飛んでいきそうな意識を引っ張り戻してから、とにかく外へ出たことを詰める。


「どうして外へ出た!俺言ったよなぁ、外出んなって!お前は天使だから、外界の空気にさらされたらけがれちまう!どうして出たりしたんだ!



……、まさか、おれのこと嫌いになったのか……?」


監禁していたくせに、まるで捨てられたかのように呟いた俺に向かってなのか、ソラの柔らかな笑い声が聞こえて来る。


『はは、うんなんじゃねぇよ。


ちゃんと家へは帰るし、ちゃんと部屋には戻る。』


「ならなんで……。」


俺がそういうと、ソラは答える。


『お前の飯、作ってやりたくって。


食材の買い出しだ。』


そんな言葉に、思わず思考が停止した。


「………………は?」


それしか言えない俺に向かって、ソラは話しかけて来る。


『おまえ、俺の目の前で食事する時いつも菓子とかカップ麺じゃん、俺には美味い手作りの飯食わせてんのに。


だから、日頃のお礼だ。』


そんな言葉に、監禁しているのから脱走している事への怒りと、話している内容への感動と、こいつ俺がそれしか食べてないって思っているんだという複雑な気持ちが同時に押し寄せてきて、何も考えられなくなる。


「そ、それいうなら!おれが食材買っていってやったのに!買って帰って、それでお前が料理して食わせてくれれば!それで十分だ!」


とにかく叫ぶように告げるが、ソラはこちらを向いたのだろう、唇がかなり至近距離にあり、画面が曇る。


『お前の手は煩わせねぇ、やらせてくれよ、だーりん』


それに、そのダーリンという言葉に、俺は何も言えなくなってしまう。


「おまえ……、その、ダーリンって……。」


言葉をひねり出すように言うと、画面が横に揺れる。


『?お前、俺の恋人なんだろ?だったらダーリンじゃねぇのか?』


それだけで、なんか全て許せてしまって、そのまま黙ったら、いつも通りとは違う、完全に恋人同士……、というか、なんか使い魔的な目線での買い出しをする光景を見た後、しっかりと家に帰り、料理をし、机に置いてくれるところまでがしっかりと映し出され、そのままソラは部屋へと戻っていった。


その間、ずっと色々と話してくれて、仕事で疲れている俺は、色んな感情で泣いた後、暫くの残業の後に家に帰り、ソラの手作り料理を食べたのであった。


ソラの部屋へ行ったら、カメラはいつものところにあったし、ソラはいつも通りに足に枷をはめてベッドの上に居た。


「おう、帰って来たのかストーカー。」


無表情にも見える笑顔でそんなことを言われ、彼の照れ隠しなのだと受け取った俺は、怒ればいいのか何をすればいいのかわからなくなって、ソラを風呂に入れた後隣同士で寝たのであった。


@@@


『なぁストーカー、今日はどんなもの食べてぇ?』


それからというもの、俺が泣きながら監禁をしたいんだと、お前は家に居てくれと、天使が外に行ったらけがれたり、誰かに連れ去られるのが怖いと、色々と言ったのに対して、ソラはしわくちゃで嫌そうな顔をしながら表面上大人しく聞き入れ、俺も安心して仕事に取り掛かれると思ったりしていたのだが、いつの間にかに外に出て、勝手にどこかで食事をしたりしてから帰ってくるようになった。


その間の全ての一部始終をカメラは映しているし、まるでアイドルとかのイメージ映像?的な感じに、ソラは食事をするときにはこちらに食べ物を差し出し、飲み物を飲むときにもこちらに飲みかけを差し出してくる。


服を選ぶときには必ず試着している風景を見せてくれるし、なんだったら俺が好きそうな服まで選んでくれる。


俺は仕事をしているが、ソラが笑顔でそんなことをしてくれるから、俺は俺で普通に話しかけ、映像と音声を一緒に楽しんでいる。


「今日はパフェがいいなぁ、ほら、ソラが好きなあそこの店のパフェを食べているのを見たい。」


俺がそう告げると、ソラが頷く。


カメラは色々と改良をし、まるで一緒に歩いているのかのような距離感での会話を可能とした。


結果、監禁しているはずなのに脱走している、そんなソラを見ているというのに、なんだかんだQOLがとても素晴らしいものとなっていた。


『あぁ、あそこか。


本当はだーりんと一緒に行きたいんだが、仕事で忙しいからな、一緒に行くか。』


そのダーリンというのが俺だという事はわかっているのだが、なんだか他人のように思えてしまい、謎に嫉妬をする。


『おい、ストーカーっていえよ、そうしないと拗ねるからな。』


俺が言うと、ソラは笑いながらこちらに手が伸びる。


『お前、よく拗ねるな?


そんなところも好きだぞ。』


まるで撫でているようなそれに、画面越しに嬉しくなるが、仕事中の身、本当に傍に居られなくてすっっっっっごく辛い。


そのままソラが店へ入り、そのまま席へと案内される。


俺が机に置かれ、注文を取ったソラがこちらに笑顔で話しかけて来るのに、俺は笑顔で答え、そのやりとりをしている間にパフェが運ばれてきた。


ソラに話しかける女性のウェイターに向かってカメラ越しにガンをつけていたら、ソラはいそいそとパフェに手を付け始めた。


『ほら、お前が一口食った後に、俺も食べる。』


そういって、ソラがパフェを一口掬ってこちらに突き付けて来るのを笑顔で見て、口を開いてエアあーんをした後、ソラはすぐに自分の口へとそれを運ぶ。


『時間切れだ、やっぱこのバナナチョコパフェうめぇな。』


そういって食べるのに、俺が笑顔で答える。


「まったく、ソラは食いしん坊だなぁ……。


今度一緒に行って食べよっか。」


俺が無意識にそういうと、ソラは驚いた顔をした。


『おまえ……、リアルに俺とデートしてくれるのか?』


明らかに画面越しに確認して来るそれは、まるでアイドルが画面から出てきて一緒に居る約束をしてくれるような、そんな感じに思えてしまって。


だが、ソラは監禁されなければいけない身、俺は悲しそうに首を振りながら告げる。


「いや、ソラは監禁されなきゃいけない身だから、俺は一緒の世界にいけないんだ……。


幸せそうなソラを見ているだけで、俺は幸せだから……。」


なんか、既に俺の中では画面越しのソラと監禁されているソラを別物として考えていて、ソラは今も俺に監禁されているし、画面越しのソラは外を自由に動き回って俺とデートしてくれる、自分の中ではそんな全く別の物となっていた。


『そうか……、リアルなお前と一緒に食べてみたかった。』


明らかに残念そうなその顔に、俺の心は撃ち抜かれる。


(あぁ~、画面越しの俺の恋人……、くっそかわいい!


あ~、画面から出てこないかなぁ~。)


そのままソラはパフェを美味しそうに食べ終え、俺を連れてそのまま会計をし、なんだかんだ会話しながらデート()を楽しんでから家に帰った。


『今日も楽しかったな、また一緒に行こうな。』


そういって唇が近づいてくるから、俺も画面に唇を近づける。


今日も、俺の恋人が可愛くて、人生は素晴らしかった。


@@@


そんなことが続いたある日の事、ソラはいきなりこんなことを頼んできた。


「おい、お前の写真くれないか?」


脱走癖が板についてしまったソラに、そんなことを尋ねられ、俺は首を傾げる。


「どうしてそんなことを言うんだい?ソラは俺の事好きになってくれたのか?」


俺はからかうような、ふざけた感じに返す。


ちなみに俺らは今、ベッドの上で隣同士になって座っている、ソラの足にはいつもの足枷がしっかりとついていた。


「そうだって前から言ってんだろ、ソララジオ聞いてねぇのか。」


明らかに威圧するように言ってくるその顔は、監禁し始めた時から変わらない素晴らしいご尊顔で、やはり美しいものは美しいのだと改めて思う。


「ちゃんと聞いているけれど、ソララジオの中の人は君じゃないだろ?」


俺の中ではこいつとソララジオは違うものだという認識だ、大人しく監禁されているソラと、デートして甲斐甲斐しく料理を作っておいていってくれるソラは別物だ。


そうしないと、俺が持たない。天使が外部に出ていると考えたくないのだ。


そんな俺の事をじっと見た後に、ソラは深すぎるため息を吐いてからこちらを見た。


「俺とソララジオの俺は同じだ、それを認めねぇのは甲斐性なさすぎないか?」


ソララジオの俺はおな、のところで耳を塞いだため、実質俺にはノーダメージ。ソラは明らかにイラついていて、俺の耳には全ての言葉がちゃんと届いていたが、塞いでいたためノーダメージだ。


「はーい、何も聞こえなーい。


それで?俺の写真が欲しい理由は?」


俺が聞いたら、こちらの目を意志の強そうな目で見ながら答えて来る。


「いい加減、カメラに向かって話すだけじゃつまんねぇ、お前の顔を見て話したくなったんだ。」


その意味をちゃんと理解して、とてもうれしくなるが、俺は白を切る。


「いま話しているので十分じゃないの?ソラは俺の事そーんなに思ってる?」


俺がそういうのに、ソラは腹を立て胸倉を掴んできた。


「てめぇ、いい加減はぐらかすのはやめろ!ソララジオでデート申し込んでんのに、拒否してんのはてめぇだろ!


拒否る位なら、写真寄越せ!それとデートしてその映像届けてやっから。」


凄みながら告げられたそれに、俺は顔を手で覆って赤いのとにやけ顔を隠す。


「ご尊顔素晴らしすぎる……、それにそんなに思ってくれているの嬉しすぎて泣きそう……。」


そんな風に俺が喜びに浸っていると、ソラは明らかに相手に(すご)んでいる不良のような勢いで告げてきた。


「てめぇは俺とデートしたくねぇのか!あの言葉は嘘なのか!甲斐性なし!」


その言葉を聞いて、顔から手を外した俺は笑顔で脳内で告げる。


「明日休日だから、デートしてもいいよ!」


すると、ソラが明らかに驚いた顔をしたと思ったら、とても優しい、こちらをいつくしむような笑顔になった。


「その言葉、忘れんじゃねぇぞ。


明日の着る服考えて、首洗って待っとけ。」


その言葉に、逆に俺が驚いてしまった。


「あれ……、口に出てた……?」


俺が確認で言うと、ソラの顔が近づいてきて、そのまま唇を荒々しく塞がれる。


そのまま色々とされるがまま数秒が立ち、離れた後のソラは笑顔で告げてきた。


「おう、その言葉、信じるからな。」


そんなソラのあまりに素晴らしい顔に、俺はそのままベッドに沈み込んだのだった。


@@@


その翌日、俺が服をしっかりと決めてソラの部屋へ行くと、ソラは俺が似合うとソララジオで言った服を身に纏っていた。


そして、足枷は既にはずれていた。


「ほら、一緒に俺の好きなパフェ食べに行くんだろ?行こうぜ、だーりん。」


そんなソラが手をこちらに差し出してきたから、俺はその手を取って、監禁する前のたった一日だけの外出とは全く違う、恋人同士のようなデートをしたのだった。


@@@


その後、俺はソラの事を解放し、耳かき一杯分の希望と共に一緒に家に住みたいと言えば、意外にもソラは頷いたが、ソラ自身の要望で、なぜかソラの部屋はソラ曰く快適な監禁部屋となった。


本当にそこで良いのかと、ほかの部屋はだめなのかと何度も聞いたが、ソラは頑なにこの部屋が良いと言い張ったので、ソラの部屋は前と同じこの部屋になったのだ。


更に言えば、しつこく聞きすぎて何発か殴られたため、もうこの部屋のままでいいやと俺がなったのだ。


あの時の拳は痛かった。


俺が出ていくときには、必ず部屋の中で足に枷をはめた状態でいるソラを見て、確認してから頷いて出ていく俺。


俺が仕事中はソララジオを聞きながら仕事をする。


家に帰ればご飯があるが、ソラはいないリビングで食事をした後に部屋に行くと、そこには鎖につながれたソラがいる。


「お帰り、仕事お疲れ様。」


そんな笑顔のソラに癒されながら、今日も一日が終わるのであった。

実際に、こんな風に脱出する奴がいたらしこたま面白いやつだよなと、笑いながら書きました。

色々と言いたいことはありますが、あまり書いても寒いだけなので、これだけで。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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