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12.金のために冒険者になる!!



「エリー。この坊主だよ」

「なるほど」


 ミランさんは俺の頭に手を乗せてポンポンと叩く。

 まるで子供のように俺の事を扱っていた。仮にも高校生の年代だと言うのに俺の身長がそうさせているのだろう。


「お名前はなんというのですか?」

「ほら坊主。名乗りな」

「あ、はい。竹中涼太郎です」

「竹中様ですね。かしこまりました。少々お待ちください」


 エリーと呼ばれた受付嬢は奥へと下がって行った。


「そういえばさっき声掛けられてたな」


 なんだ。見ていたのか。


「ええ。魔法使いを探しているらしいです」

「坊主が杖を持ってるからそう見えたんだな。どうなんだ? 大方パーティを組もうって話だったんだろ?」

「その通りですね。でも俺まだ冒険者じゃないので」

「冒険者なんざすぐなれる。それに魔法使いには前衛が必要だろ?詠唱に時間かかるんだから」

「そうですね…」


 ツルギ先生から教えられた通りだ。ツルギ先生は魔法使い1人でも戦えるように高速の魔法発射の術を教えてくれたが、一般的にはそうでは無いらしい。魔導書を開くまでの時間はさすがにかけられないが、魔法の詠唱をし、丁寧に組み上げて使うのが一般的だそうだ。詠唱は強力な魔法ほど節が長くなり時間がかかるもので、長いものだと9節にも渡るらしい。

 ツルギ先生はその時間すら1人の魔法使いには致命的だといい、詠唱を省く術を教えてくれた。まだツルギ先生のように無詠唱とまではいかないが、魔法名を唱えることで使えるくらいにはなっている。


「なら、組んでもいいんじゃないかい?」

「そうですね、ありかも知れません。冒険者のいろはも分からないですし」


 向こうは戦力として、俺は情報提供者として互いに必要な存在だ。一時であるのだろうが組んでみるのも悪くない。


「お待たせいたしました。竹中様。この書類の必要な所に必要な事項を書き込んでいただいてもよろしいでしょうか?」

「はい。わかりました」


 戻ってきたエリーさんが持っていた紙に、俺は必要事項を書き込んでいく。内容としては簡素なもので、名前と歳、戦闘方法、レベルだった。そして書類の下部には、例え依頼遂行中に死亡しても冒険者協会としては一切責任を負わないという確認があった。俺はそこの同意という方に丸を付けた。


「かけました」

「ありがとうございます。…レベルは1なのですね」

「はい。これまで師匠の元で修行をしてきただけですので」

「あ、左様でございましたか。では冒険者カードを発行しますのでお待ちください」


 エリーさんはそう言って手元の何かを操作し始める。こちらからは何をしているのかは見えなかった。


 レベルは魔物や人、なんでもいいが命を奪った時に経験値として反映され、それによって上昇する。先生も仕組みはよく分からないが、俺が経験してきたゲームの中でも同じようなことが行われていたのでそういうものか、とすんなり受け入れることが出来た。


「なんだ坊主。戦闘経験はないのか?」

「師匠との模擬戦くらいでしょうか」

「そうなのか。なら魔物との戦闘はちょっと違うから気をつけなよ」

「違う?」

「ま、人とは違って予測不可能な攻撃をしてくることもあるって事だね」

「ああ、なるほど」


 確かに、獣と戦うと言う感じが強いのかもしれない。体の構造や普段見ない動きのため、予測がつけずらいのだろう。


「お待たせいたしました。カードが出来たのでお渡しします」

「あ、ありがとうございます」


 エリーさんから銀色の鉄のカードを受け取る。そこには名前と歳、レベルが印字されていた。


「そのカードは冒険者カードと言って冒険者であることを示すものです。またパーティなどを組む際に自分の情報として見せ合うこともありますね。そのカードを紛失した場合はこちらに言ってくれれば現行のものを無効化して新しく発行致します。お金は多少かかりますが」

「なるほど。ありがとうございます」


 要するに免許証みたいなものだ。免許証があれば車に乗れるようにこいつがあれば依頼を受けたりすることが可能なのだろう。


「では、冒険者の説明に入りますね…」


 そう言って分厚い冊子を取り出したエリーさんは冒険者としての依頼の受け方や報酬の受け取り方。依頼失敗事の対応などを説明し始めた。


 何はともあれ、これでお金を稼ぐ手段が手に入った訳だ。と俺は内心安堵しながら、説明を聞いていた。

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