駄菓子
その駄菓子は子供にしか来れない。
映画の結末が変わった。
1回目ではハッピーエンド、3回目ではバッドエンド、2回目ではどちらでもない欠伸が出るような結末だった。ポップコーンは底をつき、途中退出する人に視線が移る。
「再々上映か、、、この映画もずっと人気だな」
ボソッと呟く瞬間を見逃さない。
「この映画もしつこいッスよね〜 全く何回ヒロインを殺せばいいのやら(笑)」
「いやー、ほんとにそうなんだよな、、、。結局最後の最後で、、、」
「バッドエンド」
「ハッピーエンド!」
ポップコーンが弾けて一粒床に落ちる。アナウンスが入場開始を知らせる。
「ああ??あの映画の結末はバッドエンドだろ‼︎ヒロインが最後死んで誰も幸せにならないあのエンドが何がハッピーなんだよ」
「相変わらず頭が乏しいお客さんですね〜。恋愛とかしたことないんですか???死ぬことが全てバットではないんス‼︎
その後の主人公達が前を向くとこがいいんじゃないスカ‼︎」
赤いエプロンの彼女は反抗的に睨みつける。4回目のチケットを握りしめた俺は大きく溜息をついて注文を続ける。
「ポップコーン1つ」
「ぽっぷこーんひとつ」
背伸びをしてお金をカウンターにベチっと叩きつけた少女は何事もなかったように注文を続けた。
「おかあさんからたのまれたの」
ポップコーンを溢れんばかりに詰め、手渡しされ、ありがとう!と満面の笑みを作った彼女は早々に母らしき人物の方に歩いていった。
「邪魔が入ってしまったが、やはりあの映画は、、、」
「バッドエンド」
「ハッピーエンド!」
「どっちでもない!」
一瞬固まったが、振り返り少女とアルバイターを置き去りにし、何も言わずに入り口に俺は向かっていった。
「これお母さんと食べるといいっス」
少女は2つの熱々のポップコーン持つと、ニヤッと笑い去って行った。
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