散歩の九百九十七話 大教会内の捜査状況
「最初に、あの司祭たちが使っていた部屋に行く。一週間念入りに捜索をして、証拠を押さえている」
副団長が案内してくれたのは、普通の応接室だった。
ただ、部屋の中の殆どのものが押収されていて、室内はかなり殺風景だった。
「本国からの指示の手紙など、隠すことなく机の中に入っていたよ。見つかるはずがないとでも思っていたのかもしれない。なので、捜索はかなりスムーズに行われた」
副団長曰く、司祭は情報管理がかなり雑だったそうです。
そのおかげで、事件から一週間ちょいで一気に捜索が進展したのもあります。
もし事件解決に時間がかかったら、親玉の枢機卿に事件の揉み消しにあっていたかもしれません。
「あと、その司祭が普段活動していたところはありますか?」
「奴は、ほぼこの部屋から出ていない。本国とやり取りをしていると言っていたが、実際にはろくでないことをしていたみたいだ」
教会の仕事もせずに汚いお金作りに勤しんでいたなんて、この時点でもはや聖職者ではないって言えそうです。
同行してくれたシスターやガンドフ様も、この現状を知ってかなり呆れた様子ですね。
「取り敢えず、今回の王国での関係者への処分はこのまま進められそうだな。流石に、聖教皇国内で捕まったものへの処分に口を出すと外交問題になる。中々難しいものだ」
ガンドフ様は、これ以上の対応は難しいと言っていました。
僕も同意見だけど、司祭が保身のために娘を刺し殺そうとしたという酷いことをしたという噂は直ぐには消えません。
聖教皇国内でもこの噂は広まっているらしいので、ある意味とてもダメージが大きいと思います。
アオもこの場所には何もないと言っているので、調査はここまでですね。
「そうそう、奉仕活動だが来週行うことになった。これ以上は捜索のしようもないというのもあるし、教会としても市民の不安を払拭する必要がある。また、シュンたちに力を借りることになるがな」
副団長が苦笑しながら話していたけど、元々奉仕活動は僕たちも犯罪者の炙り出しとかで活用していたもんね。
その辺の情報を王城に通信用魔導具で送ると、直ぐに準備を始めると返事がありました。
こうして、大教会での状況確認は無事に終了しました。
王城に戻ってちびっこたちに奉仕活動の件を伝えると、頑張ると張り切っていました。




