散歩の九百九十六話 司祭と嫡男の処分
しかし、父親と嫡男の件になると応接室内の雰囲気が一変しました。
「あの司祭は本国からの指示で司祭になったが、それがなければ到底司祭にはなれない器だ。今思えば、枢機卿配下の司教が資金集めの為に司祭に任命したとしか思えない。嫡男ももうすぐ司祭になると言われていたが、手続きは全て止めた」
教皇猊下が珍しく語尾を強めながら話をした。
それだけ、今回の件と裏で糸を引いている枢機卿に怒っているのでしょう。
「枢機卿は、司教を切ることで尻尾切りを図ったみたいだ。しかし、司祭が保身のためにあの子を刺したことと各国からの抗議により、枢機卿は身動きが取れなくなった。聖教皇猊下も憤慨していて、枢機卿の処分に動いているという」
教皇猊下は話を続けたが、どうやら聖教皇国でも今回の件はかなりのインパクトを与えたみたいだ。
聖職者が汚いお金を集めて、更に止めようとした娘を刺し殺そうとしたのだから相当な影響でしょう。
「司祭と嫡男は破門になる。これは、儂の権限で行う。事件に関与した聖職者も同様じゃ。家族は事件への関与具合で処分はする。残念ながら、あの子は当面助司祭に留まることになる。父親が主犯なので、何も処分なしとはできないのだよ」
シャーリーさんは、父親の不正を教会に報告できただろうという勢力もあるという。
教皇猊下も、処分はやむを得ないとといった苦渋の選択らしいです。
とはいえ、シャーリーさんの今後の活動自体で処分は軽減されるそうです。
「ただ、あの子をシュンたちが救ったのが何よりの幸いじゃ。ジェフ殿下にも懐かれているそうだし、あの子を取り巻く環境は大きく立場は変わるじゃろう」
僕たちに関わった上で良い人と思われれると、必然とジェフちゃんたちもついてくるもんなあ。
王族と関わることにもなるし、きっとこれからシャーリーさんはある意味忙しくなるかもしれません。
「儂はここまでじゃな。副団長よ、後を頼むぞ」
「畏まりました」
教皇猊下はこの後も打ち合わせがあるらしく、副団長に任せて足早に応接室を出ていった。
年配のシスターや他のものも残っており、僕たちの捜索に付き合ってくれるそうです。
因みに、全員アオのチェックで問題ないと判断されています。




