散歩の九百九十五話 大教会での打ち合わせ
翌日、僕は朝イチで王城での仕事を終えるとうちの馬と共に教会に向かいました。
教会側の捜査の進捗を確認するためで、現地でガンドフ様と合流する予定です。
「アオ、いーな……」
アオも僕と一緒についていくことになり、シロは残念ながらちびっ子たちと共に勉強部屋で勉強タイムです。
とはいえ、シロもなんだかんだでそこまで勉強嫌いではないので、多分大丈夫だと思います。
では、さっそく大教会へ向かいましょう。
「騎士団長、シュン、わざわざ教会に足を運んでもらい申し訳ない」
大教会に着くと、聖騎士団副団長が僕たちを出迎えてくれました。
僕とガンドフ様が大教会に来ると事前に周知してあったので、スムーズに応接室に案内されました。
すると、教皇猊下を始めとする教会の聖職者が僕たちを出迎えてくれました。
「教皇猊下、わざわざ出迎えて頂き大変恐縮です」
「いやいや、教会のものが起こした大事件で騎士団長、シュンに足を運んで貰ったのだ。出迎えをして同然だ」
教皇猊下だけでなく、他の聖職者も表情は固かった。
何にせよ話をしないとならないので、全員席に座ります。
すると、最初は治療中のシャーリーさんの話になりました。
「現在は、車椅子を使えば移動できるところまで回復しました。ただ、完全に体調が戻るのはもう少し先になります」
「実の父親に刺されて、瀕死の重傷を負ったのだ。動けるようになるのもそうだが、こころのケアも必要だ。あの子には、悪いことをした」
教皇猊下も、かなり残念そうな表情を見せていました。
シャーリーさんは奉仕活動にも熱心に参加していたので、父親とは違うという評価でした。
教会側も、シャーリーさんの体調回復を優先するそうです。
どんなに早く見積もったとしても、シャーリーさんの体調回復には一ヶ月かかりそうです。
「父親の不正を止めようと体を張ったあの子を、教会は排除しようとはしません。それこそ、とても難しい決断をしたあの子を褒めてやりたいと思います」
年配のシスターが、ハンカチで目尻に浮かんだ涙を拭いていました。
何にせよ、教会側も司祭と関係者は処罰するけどシャーリーさんのことを処罰するつもりはないそうです。
僕も、その話を聞いて思わずホッとしました。




