散歩の九百九十三話 再び控室へ
謁見を終えると、僕たちは改めて控室に戻りました。
すると、先ほどまで控室にいなかった人が僕たちを出迎えてくれました。
「「「おかえりー!」」」
「わっ」
部屋の中で、ジェフちゃんたちちびっ子がニコニコしながら待っていたのです。
みんな、ずっとシャーリーさんに会いたかったもんね。
当のシャーリーさんは、ちびっこたちの元気な出迎えにちょっとびっくりしていました。
「シャーリーさん、みんなシャーリーさんに会いたかったんです。教会での奉仕活動の時に良くしてくれたのを覚えていたんですよ」
「「「そーだよ!」」」
僕がシャーリーさんに色々と説明すると、シャーリーさんは別の意味で驚いた表情になりました。
そして、ジェフちゃんがシャーリーさんに改めて話しかけました。
「お姉さん、元気になって良かったね!」
「あ、ありがとうございます」
ジェフちゃんの素直な言葉に、シャーリーさんは思わず目尻に涙を浮かべていました。
そして、謁見に参加していたフランたちも負けじとシャーリーさんに声をかけていました。
スーもシロも、そんなちびっこたちのほのぼのとしたやり取りに目を細めていました。
ガチャ。
「ははは、ジェフよ仲良くやっているな」
「そーだよ!」
そして、控室に陛下を始めとする王族も入ってきました。
王族たちも、シャーリーさんの周囲に集まる子どもたちを見てニッコリとしていました。
「シャーリーよ、それがそなたの評価だ。子どもというのは、悪意にとても敏感だ。逆に、良い人と判断したものには遠慮がない。こうして、たくさんの子どもに囲まれているという良い評価を出すことができよう」
陛下も父親でもあり祖父でもある。
だからこそ、こうして子どもたちに好かれるシャーリーさんのことを評価しているのでしょうね。
「教会側も、シャーリーを聖職者にする対応をするという。何にせよ、処分を受けるものは罪を犯したものということだ」
「しかしながら、家族は貴族家という立場そして聖職者という立場を悪用した罪を犯しております。処分は甘んじて受け入れる所存です」
「その辺は仕方なかろう。個人への処分と家への処分がある。もう少し時間がかかるだろう」
陛下の言う通り、今回は犯罪の規模としては大きめです。
爵位の降格は免れないだろうし、聖職者としての地位も下がるでしょう。
とはいえ、問題のあるものが捕まって良い人が後を継ぐのは王国にとっても教会にとっても有益な話です。
幸いにして、屋敷の使用人も数多く残っているもんね。




