散歩の九百八十八話 王城での会議
屋敷を出て王城に着くと、勉強部屋に向かったちびっこたちと別れて会議室に案内されました。
間違いなく、例の司祭の話ですね。
「陛下、お待たせし申し訳ありません」
「シュンは、例の令嬢のところに行っていたのだ。気にすることはない」
ペコリと頭を下げた僕に、陛下は問題ないと席に着くように促した。
閣僚に加えて軍の幹部と聖騎士団の副団長もおり、これから王国と教会で対応を検討することになるのでしょう。
「陛下、並びに王国の皆さま。この度は、教会の司祭が大事件を起こし誠に申し訳ありません。深く謝罪いたします」
「謝罪を受け入れよう。とはいえ、普通なら教会側に処分を任せるが、今回は王国側にも実害が出ている。その辺も含めて、お互いにいい対応を決めよう」
謝罪をする副団長に、陛下は建設的な意見を述べました。
とにかくやる事を決めないといけないので、直ぐに会議が始まりました。
「先ず、スー、シュン、シロ、アオは昨日の対応ご苦労だ。当分は毎朝令嬢の様子を見に行き、必要に応じて治療を行うように」
「「「畏まりました」」」
僕たちは捕まった司祭の娘と面識があるので、陛下は僕たちが色々と話を聞いた方がいいと判断したみたいです。
もちろんそのつもりだと思っているし、陛下も女性への聴取は急がないと伝えました。
「今後についてですが、軍、聖騎士団の合同捜査本部にて司祭や関係者への聴取を行う予定となっております。司祭については娘への、殺人未遂も加えての対応を行います」
最初に、軍務大臣が今後の捜査方針を通知しました。
証拠品は押さえているので、言い逃れするのは不可能でしょう。
特に、司祭が実の娘を刺した件は教会側でも大問題になっているそうです。
「聖教皇国からも、司祭は厳罰に処してくれと連絡が来ております。司祭と繋がっている可能性のあるものへの聴取も行っており、状況が分かれば情報を共有いたします」
副団長曰く、あの司祭の部下がかなり怪しいらしく、聖騎士団から尋問を受けているそうです。
取り敢えず、僕とスーは直接の捜査対応は無しで、シロとアオは引き続き市内巡回を続けることになりました。
そんな中、一つ残念な発表がされました。
「現在王国側も教会側も捜査を行っているため、今週予定していた大規模な奉仕活動は延期する。捜査の進捗を確認し、再度実施日を周知する」
陛下の決定は、ある意味当然といえましょう。
スラム街への奉仕活動についても、今週は難しいと判断されました。
軍や聖騎士団が捜査に専念しているので、こればかりは仕方ないですね。




