散歩の九百八十七話 女性との再会
翌日、僕たちは王城に行く前に昨日強制捜査をした司祭の屋敷に向かいました。
フランたちも勉強の為に王城に行くので、一緒についてきています。
「「「お姉ちゃんに会えるの楽しみ!」」」
どうやら、フランたちは僕とアオが治療した女性を知っているようです。
大教会での奉仕活動の際にいつも声をかけてくれたので、良い人だと思っているみたいですね。
「そのお姉ちゃんは怪我をしているのだから、あまり騒いじゃ駄目だよ」
「「「はーい!」」」
もちろんはしゃがないように注意をしておくけど、フランたちはきちんと話を守るし大丈夫ですね。
因みに、今日はスーが女性を治療することになっています。
ということで、僕たちの屋敷からあっという間に司祭の屋敷に到着です。
「うわあ、まだ厳重な警備だね」
屋敷を警備するたくさんの兵に、シロは思わず驚いちゃっています。
昨日の夕方捜索をしたばっかりだし、この後の方針も決まっていないのでどうしようもないですね。
「皆さま、お待ちしておりました」
「「「はーい」」」
屋敷に入ると、昨日対応してくれた使用人が僕たちを出迎えてくれた。
使用人の話によると、あの女性はまだ動けないけど意識を取り戻したみたいです。
とはいえ、まだ聴取を行うほどの体力を回復はしていません。
その辺りも頭に入れながら、女性の部屋に入りました。
「「「おはよーございます!」」」
「あっ……」
元気いっぱいに挨拶をしたフランたちを見て、ベッドで寝ている女性はかなりびっくりしていました。
すかさず、スーが女性に近づいて治療を始めます。
シュイン、ぴかー!
「昨日よりも、顔色が少し良くなりましたね。頑張って、体力回復に努めましょう」
「スーザン、殿下、申し訳……」
「あなたが両親の罪を背負い込む必要はありません。あなたではなく、罪を犯したものが罰せられるべきです。大丈夫ですよ」
スーが女性に優しく語りかけると、 女性は目尻に涙を浮かべながらコクリと頷きました。
怪我自体は、スーの治療でもう大丈夫みたいですね。
「じゃあ、今日はここまでにしておきましょうね。お姉ちゃんが元気になったら、また会いに来ましょうね」
「「「はーい!」」」
フランたちは女性が元気になれると分かったので、スーの説明にも直ぐに返事をしていました。
最低でも一週間は安静にしないと駄目なので、その間は万が一の身の安全を考えて兵の護衛があった方が良さそうですね。