散歩の九百八十五話 使用人への聴取
すると、今度はガンドフ様がアオと共に動き出しました。
「屋敷内にいる犯罪者を捕まえてくる。シュンは、そのまま使用人から話を聞くように」
ガンドフ様は僕にそう言うなり、兵を引き連れて屋敷の中に散らばった。
僕の方が使用人から話を聞けると思ったのだろう。
僕は、突然の展開に驚く使用人が落ち着くまで待ってから話を聞くことにした。
「その、お嬢様は普段は大教会でお手伝いをしておりまして、実はシュン様のこともご存じでした。そして、最近お館様が不審な動きをしているのを察知されました」
まあ、僕たちは大教会の奉仕活動ではかなり目立つ動きをしているもんなあ。
教会関係者なら、直ぐに僕たちのことが分かるでしょう。
更に、玄関で撃退した様なならずものが屋敷の中にいれば、絶対に何かあると勘ぐるはずです。
「本日夕方、屋敷に出入りしているものの一人が慌てた様子で駆け込んできました。全てバレて、仲間が捕まっていると。たまたま近くでその話を聞いたお嬢様は、逃げようとするお館様と奥様を何とか止めようとしました。しかし、お館様は逆らうのかと言いながらお嬢様をナイフで刺したのです……」
使用人たちは、最後は涙を流しながら説明してくれた。
一つ言えることは、司祭は完全に人でなしだと言えることです。
直ぐに通信用魔導具で各所に連絡したけど、やはり司祭の非道な行いに非難の声を上げていた。
そして、そんな司祭や自分の家族を止めようとした女性への保護命令も改めて出されました。
「シュンお兄ちゃん、悪い人捕まえたよ!」
ある程度使用人から話を聞き終えたところで、シロが僕たちのところにやってきました。
無事に仕事を終えたと、かなり満足そうな表情をしていました。
捕まえたのは、司祭夫妻と嫡男、執事と護衛のならずものです。
全員、シロと副団長にあっという間にに制圧されたそうです。
スーと副団長もやってきたので、先程の女性の話も伝えます。
「そんな酷いことをするなんて……とても考えられないです」
「彼女は正義感も強い。きっと、何とか家族を止めたかったのだろう」
スーも副団長も、かなりやり切れない表情をしていました。
何にせよ、先ずは彼女の体調が戻ることを優先にしないといけない。
スーと副団長は、念の為に女性のところに向かうことになりました。
「じゃあ、シロはアオと一緒に更に悪者を捕まえてくるね!」
シロは、またまた意気揚々と走り出しました。
僕はというと、執務室に向かって証拠書類の探し物をすることにしました。




