散歩の九百八十四話 屋敷内に突入です
勝手にノックアウトしたならず者は放置しておき、僕たちは一気に玄関ホールに突入します。
手加減用に木剣を手にし、玄関ホールで刃物を構えているならず者に一気に接近しました。
バシッ、ドカン!
「「「ぐはっ……」」」
アオも突進などでならず者を一気に無効化し、すかさず兵がノックアウト状態のならず者を捕縛しました。
直ぐに周囲を探索魔法で確認します。
「どうやら、この屋敷には他にならず者はいないみたいです。後は、危険な感じはしませんでした」
「というか、十人を超えるならずものがいれば十分おかしい事態といえよう。しかし、シュンは剣の腕も上達しているな」
ガンドフ様に褒められるのは、悪い気はしませんね。
今も、毎朝必ず何かしらの訓練を行なっています。
その成果が出たと言えましょう。
ちょいちょい。
ここで、アオが僕にあることを教えてくれました。
というか、あまり良くない情報ですね。
「ガンドフ様、アオが大量の血の臭いがすると言っています!」
「それは良くない。急いで向かってくれ」
僕とアオは、数人の兵と共に急いで血の臭いがするところに向かいました。
すると、僕たちに向かって使用人が必死の形相で走ってきたのです。
「お願いします、お嬢様をお助け下さい。旦那様にナイフで刺されて倒れております」
「えっ!?」
とんでもない事が起きているなんて。
僕とアオは、驚きながらも使用人がたくさん集まっているところに向かいました。
すると、廊下の真ん中で倒れている女性を使用人がタオルで刺された腹部を抑えていました。
「うぅ……」
女性はスーとほぼ同じくらいで、少し癖のある赤髪ショートヘアでした。
なんとか息があるみたいで、ギリギリ命を繋ぎとめている状態ですね。
僕とアオは、直ぐに魔力を溜め始めました。
シュイン、シュイン、ぴかー。
「す、凄い。一気に、傷が回復していきますわ」
「お嬢様、しっかりして下さいませ」
使用人が驚愕の表情だったり心配そうな表情だったりと様々だったけど、顔色が良くなっていく女性を見てホッとしているのは共通だった。
僕とアオの全力回復魔法で、何とか危機は脱したみたいですね。
更に、女性を含めたこの場にいる全員に生活魔法をかけて体を綺麗にします。
「女性を担架で部屋に運んで下さい。貴重な証人です、警備も厳重にして女性に何かあってはならないようにして下さい」
「「「はっ」」」
「「「我々も向かいます」」」
女性を担架に乗せて運ぶ兵と共に、使用人も一緒についていきました。
あの女性が屋敷の使用人に信頼されているという、何よりの証拠でした。
因みに、女性の周囲にいた使用人は全員アオのチェックで問題ないと確認済みです。




