散歩の九百八十三話 屋敷への強制捜査開始
騎士団の施設を出発して程なく目的地の司祭の屋敷に到着した。
突然の大軍の出現に、少し眠そうにしていた門番はかなりびっくりしてしまった。
そんな中、副団長が馬上から門番に命令を下した。
「王国騎士団、並びに教会聖騎士団合同での強制捜査を行う。直ちに開門せよ! 本件は畏れ多くも教皇猊下からも捜査の指示を下され、王国からスーザン王女殿下も直接捜査に参られた」
「は、はいいいい!」
こういう時って、絶対に逆らえない人の名前を出すと素直に従うんだね。
門番は相当慌てながらも門を開け、僕たちを屋敷の敷地内に招き入れた。
その間に別の門番が、僕たちの来訪を告げる為に屋敷に向かって全力ダッシュしていた。
仮に玄関ドアが施錠されていても、アオはいとも簡単に開けちゃうけどね。
僕たちも門番の後をついていき、先ずは成り行きを見守ります。
バタン、ガチャ。
ガチャガチャ。
「あっ、鍵を閉められました」
「まあ、予想の範疇だな。アオ、やってくれ」
ガンドフ様の命を受けたアオは、シロの頭の上でビシッと敬礼をしました。
そして、玄関ドアの鍵のところに飛びつくと、鍵穴に触手を差し込みました。
ガチャガチャ、ガチャ。
「流石はアオだ。相変わらずの早業だ」
「アオに勝る技能を持つものは、限りなく少ないだろうな」
ガンドフ様と副団長に褒められて、アオは少し照れたような仕草をしていました。
玄関を開ける前に、念の為に探索魔法で周囲を確認してっと。
シュイン。
「あっ、どうやら玄関ドアを開けた瞬間に熱烈歓迎を受けそうです。あと、屋敷の裏口から逃げようとする反応があります」
どうやら、僕たちを玄関で釘付けにしてその間に逃げようと思っているみたいですね。
でも、既に屋敷の周りをたくさんの兵が取り囲んでいるし、どうやって逃げようとするのだろうか。
「では、私とスーザン殿下、そしてシロで逃げようとするものを捕らえよう。騎士団長、シュン、アオで屋敷を制圧してくれ」
「うむ、まかせてくれ」
副団長が直ぐに役割分担を決め、スーたちは屋敷の裏口に走り出した。
僕も、少し固めの魔法障壁を展開した。
そして、合図をして兵が玄関ドアを開けた時だった。
「「「うらー!」」」
ドカン。
「「「ぐはっ」」」
玄関ドアが開いた瞬間、複数のならずものが剣を片手に全速力で僕たちに向かって走り出した。
しかし、僕のかなり固い魔法障壁に顔面から思いっきり突っ込んだのだ。
哀れ、ならずものは鼻血を出しながら気絶してしまった。
ある意味、とても綺麗な自爆ですね。




