散歩の九百七十二話 警備強化指令です
ローラン伯爵の引き起こした事件は、当分捜査が続くそうです。
因みにアオも一緒になって捜査をしても、他の貴族の関与は一切ありませんでした。
完全に、ローラン伯爵家のみで起きた事件のようです。
嫡男夫人の実家も、まさか嫁ぎ先でこんな大事件が起きるとは思ってもいなかったようです。
とはいえ、嫁いだ娘と孫は事件に関与していないのもあり、ちょくちょく様子を見に来ているそうです。
「ローラン伯爵は、過去の栄光を取り戻すのと贅沢をするための資金を手に入れるのが犯行動機のようです」
「「「はあ……」」」
今日は閣僚を含む幹部会議が行われているのですが、冒頭の軍務大臣の報告を聞いた全員が深い溜息をついていました。
「絶対に本当の動機は後者だろう。真面目に仕事をして実績を上げれば、普通に昇進する。最も、奴は真面目に仕事をする気がないから犯罪組織に接触したのだろう」
陛下の呟きが全てでしょうね。
過去の栄光の件は、取ってつけたようなものだと思います。
「ローラン伯爵のことよりも、人神教に関することが優先だ。昨年末に起きた大教会への襲撃、並びに新年の謁見での騒乱の件もある。早急に警戒態勢を強化するように」
「畏まりました」
王国にとっての優先事項は、人神教に対する対策です。
ここのところ大人しいかと思っていたのに、ローラン伯爵が人神教に接触していたのです。
軍務大臣への指示と共に、陛下は僕にもあることを指示しました。
「シュン、シロとアオを馬に乗せて巡回部隊と共に王都内を巡回させるのだ。シロとアオの嗅覚に加えてあの馬の攻撃力があれば、大抵のことは決着する」
「畏まりました」
何となく予想できたことだし、流石にまだジョディーさんに巡回をお願いする訳にはいかない。
他の子たちは、日々の勉強が優先です。
「スラム街での奉仕活動も実施するように。昨年は、かなりの成果を上げていた。王国の福祉活動へのアピールとなる。ただ、まだ他の子は参加させないように」
陛下の懸念も良く分かります。
フランたちは結構強いけど、ジェフちゃんたちはまだまだこれからだもんね。
この辺の話は、昼食時にみんなに話すことになりました。
「みんなの力を合わせて、色々と対応することになりました。ジェフちゃんたちも、大教会での奉仕活動で頑張ってもらうよ」
「「「頑張るよー!」」」
基本的にちびっ子たちは、お手伝いするのを嫌がらないのがとても助かります。
ジェフちゃんたちにも役目を上手く与えて、やる気になってもらいます。
王子様が国民のためにお手伝いするということだけでも、周囲にかなりの効果があるはずです。
ちなみに、シロとアオの市内巡回は早速昼食後から行うことになりました。
馬にも話をしておかないといけないけど、多分やる気満々で引き受けるだろうなあ。




