散歩の九百六十七話 ローラン伯爵家に到着
結局、スーも王城に戻らずに僕たちと一緒について行くことになった。
スーの場合は、ドレスに剣を下げる装備です。
ということで、さっそく馬車に乗ってローラン伯爵家に向かいます。
「確か、ローラン伯爵の嫡男の嫁と孫は良い人なんですよね。できるだけ早急に保護をしないと駄目ですね」
「うむ、その意見に同意じゃ。良きものは、保護しないとならぬ」
王妃様も、僕の意見に直ぐに同意してくれました。
あくまでも目標はローラン伯爵と嫡男、それに与するものです。
無関係な人は、早急に保護しないといけません。
もちろんガンドフ様もこの件を認識していて、兵にも無関係な人は保護するように通達されているそうです。
「あっ、ばしゃだー!」
程なくしてローラン伯爵家に到着したが、レンちゃんくらいの歳の子が目をまん丸にしながら僕たちの乗ってきた馬車を見ていました。
一方、男の子と一緒に遊んでいた母親と使用人は、直ぐにとんでもないことになると察知したようです。
直ぐに門が開いて、僕たちも屋敷の敷地内に入りました。
トトト。
「こんちはー!」
「うむ、良い返事じゃ。いい子じゃのう」
「えへへ」
男の子は、王妃様の側に駆け寄って元気の良い挨拶をします。
この感じを見るに、男の子は報告通りにとてもいい子みたいですね。
「お、お、王妃様、息子が大変申し訳ありません」
「この子は挨拶をしただけじゃ、何も悪いことをしておらん。むしろ、良いことじゃ」
嫡男夫人と思われる女性は、相当慌てていたのでしょう。
一方で、王妃様は男の子の頭を撫でながら褒めていました。
親子で髪の色が緑色で全く一緒ですね。
その間に、僕とスラちゃんで二人と使用人の鑑定を行い、王妃様に向かって頷きました。
「妾たちは、悪人を捕まえにきた。そなたらは悪ではない」
「しかし、何か企んでいるお義父様と夫を止められませんでした。私も同罪です」
「そなたは、いまはこの子の側にいて守っておればよい。判断は、もう少ししてからでよいぞ」
ペコリと頭を下げている嫡男夫人は、僕も全く問題ないと思うけどね。
何よりも、嫁いできた身分ではローラン伯爵と息子に意見することはできなかったと思うし。
そして、嫡男夫人の足に抱きついている男の子にスーが話しかけると、一気にみんなのスイッチが入ることになりました。
「ねえ、おじいちゃんとお父さんは好きかな?」
「嫌い、大っきらい! いつも僕のことを叩くもん!」
この話を聞いた瞬間、王妃様を始めとした面々の怒りに火が付いてしまいました。
こんなにも小さい子を殴るなんて、普通ではあり得ないです。
もちろん、僕、スー、アオ、ガンドフ様もかなり怒っていました。




