散歩の九百五十四話 実技講習開始です
「とー、やー!」
シュパパパパーン!
「「「は、速い……」」」」
シロとアオが互いにいつもの速さで手合わせを行なっているけど、新人冒険者にとっては目で追えない速度らしいですね。
スーも準備運動をしているけど、もしかして王女様のドレス姿で手合わせをするつもりなのかな。
一抹の不安を抱えながら、僕は準備運動を続けました。
そして、僕は準備運動を続けるちびっ子たちに声をかけました。
「みんなは、最初は僕たちが他の新人冒険者と手合わせするのを見ていようね。落ち着いてきたらみんなにも声をかけるから、そうしたら手合わせをしましょう」
「「「はーい!」」」
ちびっ子たちも元気よく手を上げていたし、これなら文句を言われなさそうです。
スーもこれなら大丈夫だと頷いてくれました。
では、早速実技講習を始めましょう。
「では、これから実技講習を始めます。武器を持った事がない人は、先ほどの荷物講習の場所に様々な武器を並べています。この武器は冒険者ギルドで購入可能ですので、参考にしてみましょう」
「「「はい」」」
僕が新人冒険者に説明をし、早速訓練場の舞台で実技試験を始めます。
すると、ドレス姿のスーが木剣を手にして舞台に上がって行きました。
「座学の際にやる気満々の方がおりましたので、僭越ながら私がお相手をいたしますわ」
きっと、尊大な態度を取った冒険者は思わずゾクッとしただろう。
それだけスーのロイヤルスマイルは強烈だった。
そして、意を決して存在な態度を取っていた三人が武器を手にして舞台に上がった。
「時間がもったいないですので、三人纏めてかかってきていいですよ」
「「「くそー!」」」
スーがふふっと微笑むと、三人は一斉にスーに向かって走り出した。
スーはというと、リラックスした状態で木剣を構えていました。
そのまま、三人の剣を余裕をもって防いでいました。
「連携が雑です。もっと相手をよく観察して、仲間との息を合わせましょう」
「「「くそー、何で攻撃が通じないんだよ!」」」
スーは三人に的確な指導をしているけど、三人は焦っているのかどんどんと連携が雑になっていきました。
うーん、これでは正直駄目ダメもいいところですね。
そのまま、スーに一太刀も浴びせることもできぬままにタイムアップです。
三人は肩で息をしていますが、スーは一歩も動かずに終わりました。
「今日は緊張しているのもあったのでしょうが、冒険者ギルドでの改めての実技講習をお勧めいたします。このままでは、魔物を倒す前にやられてしまいますよ」
「「「はあはあはあ……」」」
スーの残念そうな言葉が三人に伝わったかは置いておいて、改善の余地は大いにあった。
三人は息を整えながら、肩を落としながら舞台を降りて行った。
では、僕も含めての手合わせを始めましょう。




