散歩の九百五十話 新人冒険者に自己紹介
でも、少し問題があります。
僕は貴族服だけど、多分問題ありません。
シロたちも、いつもの普段着なので全く問題ありません。
しかし、スーは王女らしい気品のあるドレスにティアラまで身につけています。
流石に、この格好で講習を受けるのはマズイと思います。
とはいえ既に新人冒険者が待っているそうなので、座学はこのままの姿で行うことになりました。
僕がメインになって説明することになるんだろうなと思いながら、ちびっ子を引き連れて講習が行われる部屋に入った。
ざわざわ、ざわざわ。
僕たちが部屋に入ると、新人冒険者はドレス姿のスーを見て何が起こっているのかと騒めいていた。
なので、王太子であるジェフちゃんたちには殆ど気が付かず、その間にちびっ子たちは最前列に座っていた。
僕が先に話そうとしたら、スーが最初に挨拶をするみたいだ。
こういうのは、最初にガツンとおこなった方がいいですね。
「皆様、王国王女のスーザンです。Cランク冒険者でもあります。本日の新人冒険者向け講習を担当することになりました。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「「「よ、宜しくお願いします……」」」
王女様が講習を担当することになり、新人冒険者たちは全員緊張していた。
恐らく講師を茶化そうとしていたと思われる最後列で偉そうにしていた三人の男性冒険者も、これはマズイといった表情をしていた。
今のうちに、僕たちも自己紹介を済ませてしまおう。
「皆さん初めまして、Cランク冒険者のシュンです。どうぞ宜しくお願いします」
「Cランク冒険者のシロだよ! スライムのアオもCランク冒険者なんだよ!」
護衛に近衛騎士もいるけど、あくまでも講習を担当するのは僕たちです。
すると、新人冒険者の何人かがあることに気が付きました。
「も、もしかしてスーザン様って『聖なる女帝』という二つ名を持つ冒険者では?」
「シュンっていう冒険者も、『雷撃の料理人』って二つ名を持っていなかったっけ」
「あのスライムも、北の辺境伯領の大会で優勝した『チャンピオンスライム』じゃなかったっけ」
僕たちの二つ名を何人かの冒険者が呟いたことにより、新人冒険者が一気にざわめき始めました。
うーん、僕の冒険者らしくない二つ名まで新人冒険者は知っているんだ。
でも、今は講習中なので静かになって貰いましょう。
「では、この後の流れを説明します。座学を行った後、訓練場に移動して荷物講習と実技講習を行います」
「「「はい」」」
スーが改めて説明をすると、新人冒険者の騒ぎはピタリと収まった。
さて、さっそく座学を始めましょう。




