散歩の九百四十二話 今日の炊き出しはひと手間かけます
翌日も、僕たちは教会で奉仕活動を行います。
念の為に食料はアイテムボックスの中に入れていたけど、折角なので今日はグロー伯爵領の野菜を使うことにします。
どんな料理にするかは、届いた野菜等を見て決めます。
ということで、さっそく教会に向かいましょう。
「うーん、イノシシ肉もオオカミ肉も下処理が必要だね……」
購入したものを確認したのだけど、野菜は大丈夫なのだけど肉に問題があった。
僕たちはアオが完璧に血抜きをしてくれるけど、今回のは下処理があまり良くなかった。
肉自体は問題ないので、さっそく処理を始めましょう。
野菜などは、ジョディーさんやシスターに任せます。
「肉を切って、ワインに漬け込んでと」
イノシシ肉もオオカミ肉も、筋切りをして食感を良くします。
料理用のワインに漬け込んで、臭み取りの処理をします。
お酒大好きなスーが僕の方をチラリと見たけど、流石に今は駄目ですよ。
更に、ニンニクと生姜、ネギの入った寸胴鍋で煮込んでいきます。
丁寧にアクを取って、雑味を減らします。
後は野菜と一緒に煮込んでいき、塩コショウで味を整えます。
「シュンお兄ちゃん、凄くいい匂いだよ!」
ちょっと暇そうにしていたシロに味見をしてもらったけど、どうやら下処理は上手くできたみたいですね。
やっぱり、料理は手間暇かけないと美味しくならないですね。
すると、炊き出しに並んでいる人の数が昨日よりも多い気がします。
「シュンさんが手間暇かけた料理は、美味しいに決まっています。しかも、私たちは明日王都に戻るので、もう食べられないと思っている人も多いのではないでしょうか」
スーが苦笑しながら至極当然だと言ってきたけど、僕たちの奉仕活動期間は事前に周知されています。
昨日治療班は頑張ったけど、その分今日は炊き出し班の方が忙しくなりそうです。
ということで、途中から僕は身体能力強化魔法を全開にして料理を始めました。
風魔法を応用した圧力鍋もどきも駆使して、ドンドンと料理を作っていきます。
しかし、今日炊き出しに並んでいる人の数はとんでもなく多かった。
なので、食材も追加発注してアオも料理に加わってもらいました。
うーん、お肉を美味しく食べられるようにとやったのだけど、ある意味失敗したかもしれない。
こうして、僕は怒涛の勢いで料理を作っていたのだった。




