散歩の九百三十九話 暫定当主任命式
翌朝、僕たちは朝食後にキチンとした服に着替えます。
まずは、朝イチで嫡男への暫定当主任命式を行います。
嫡男も貴族服に着替えているけど、歩行訓練中なので車椅子で式典に参加します。
「みんなも、嫡男が任命書を受け取ったら大きな拍手をしてあげるんだよ」
「「「はーい」」」
今回は、名誉男爵のシロだけでなく他の子どもたちも式典に参加します。
僕はスーの補助をするのでシロたちと一緒に並べないけど、アオも一緒だし大丈夫ですね。
ホーネット男爵にも、式典の補助をしてもらいます。
着替えなどの準備も終わったので、みんなで式典が行われる玄関ホールに移動します。
「それでは、私スーザンが父国王陛下に成り代わり、ジーク・グローへ暫定当主任命書を渡します。ジーク・グローは前へ」
「はっ」
王女としてのドレス姿のスーの前に、侍従に車椅子を押して貰っている嫡男がやってきました。
そして、僕は任命書の入ったトレーを持ってホーネット男爵に近づき、ホーネット男爵はトレーから任命書を取ってスーに渡します。
「ジーク・グローをグロー伯爵家暫定当主とする」
「謹んでお受けいたします」
スーは、厳かな雰囲気を出しながら車椅子に座っている嫡男に任命書を手渡した。
流石に、この時はシロたちも静かに立っていました。
軍の幹部も一緒にいるので、少し緊張しているみたいです。
「以上をもって、ジーク・グローへの暫定当主任命式を終了します」
「「「おめでとー」」」
無事に式典終了でき、シロたちもようやく拍手をしていました。
こういうのは、簡素的でもキチンとやるのが大事ですもんね。
任命式も終わり、暫定当主となった嫡男だけでなく同席した使用人も少しホッとしていました。
これで、領内の運営に本格的に取り掛かれるからね。
「では、私たちはこの後教会に移動して奉仕活動を行います。無料治療もできるだけおこないますわ」
「スーザン殿下、色々と対応頂き本当に感謝申し上げます」
この後の予定を説明するスーに嫡男が深々と頭を下げたけど、嫡男も少し休んだらホーネット男爵と農政に関して話をすることになりました。
さっそくということで、僕たちは馬車に乗ってグロー伯爵領にある教会に向かいます。
「今日は、一日奉仕活動を行いますよ。みんなも頑張ってお手伝いしてね」
「「「がんばるぞー!」」」
馬車内でちびっ子たちに声をかけたけど、みんな久しぶりの奉仕活動なので気合いを入れていました。
軍の兵も護衛につくし、スーの安全もバッチリです。




