散歩の九百三十四話 グロー伯爵への聴取の状況
王太子様は数日間は僕の業務も抑えめにしてくれて、だいぶ配慮してくれました。
グロー伯爵領へは専門の財務調査官が行っていて、僕たちが再びグロー伯爵領に向かうのは更に延びました。
グロー伯爵と執事などへの取り調べは続いているのですが、実はこのタイミングでグロー伯爵家の親戚も捕まって王都に護送されました。
どうやら、この親戚の存在がグロー伯爵の嫡男に毒を盛らせた事に繋がったみたいです。
僕とスー、それにアオは、王太子様の執務室で詳しい話を聞くことになりました。
「グロー伯爵は、息子を毒殺して親戚から養子を入れようとした。犯行動機はとても短絡的なもので、賢い息子に自分の犯罪をバラされるのではと考えていた」
自分の悪事がバレそうだから息子を殺そうとして、更に病死にみせかけて殺すことで養子縁組をしやすくしようとしたと。
なんというか、呆れて物が言えないとはこういうことを言うんですね。
スーも、あまりにビックリしすぎて目をまん丸とさせていました。
「グロー伯爵は嘘が下手くそなので、化けの皮が直ぐに剥がれそうですね」
「実際に、嫡男も父親は怪しいと思っていた。浅はかな考えで行動しても、上手くいかないってことだ」
王太子様もかなり呆れていたけど、グロー伯爵の目論見はあと少しのところまできていた。
僕たちがグロー伯爵領に行ったのは、かなりタイミングが良かったのかもしれない。
「グロー伯爵家の親類が軒並み捕まったことで、結局あの嫡男しか爵位継承権が残らなかったことになる。嫡男の体調も順調に回復しているが、爵位継承で王都に来るとなるともう少し時間をかける必要がある」
疑心暗鬼になっていたグロー伯爵が、親類にも手をかける可能性はあった。
そういう意味でも、親類も捕まって良かったのかも。
今は本来の財務調査をして、納めるべき税金と罰金を確定させなければならない。
なんにせよ、グロー伯爵家の問題は別段階になったのでしょうね。
「別で捕まった贈賄の貴族も、当分捜査に時間がかかる。なんにせよ、シュンたちは暫く普通の業務に専念するように」
「「畏まりました」」
色々な調査の結果が出てきたらまた忙しくなりそうだけど、ちびっ子たちを置いて何処かに出かけることはなさそうです。
話はこれで終わったので僕はそのまま仕事を始めるけど、まだまだ自分勝手な貴族はなくならないだろうなと思いました。




