散歩の九百三十二話 簡単な公務に出かけます
ちびっ子たちの勉強は午前中で終わりだそうで、午後はうちの屋敷に行ってガイちゃんとブレアちゃんと一緒に遊ぶと言っていました。
ジェフちゃんもみんなと一緒についてくると言っていたのですが、実は元々スーと共に簡単な公務に参加することになっていました。
なので、ジェフちゃんは公務が終わったらマリアちゃんのところに行くと張り切っていました。
「えーっと、僕とアオも公務のお手伝いですか?」
「ジェフとスーの、念の為の警備といえよう。正直なところアオがいれば大丈夫だが、人もいた方が良いだろう」
王太子様曰く、簡単な公務というのが教会の治療施設の慰問です。
いつも行っているところだし、入院している人に声かけをして終了です。
ジェフちゃんも、王太子妃様と一緒に行っているので初めての経験ではありません。
とはいえ、簡単な公務とはいえ王家が国民に寄り添っていますよというアピールになるのでそれなりに重要です。
「その慰問には、妾も参加する。治療施設なのであまりぞろぞろと動くのはよくないが、このくらいの人数なら問題ないのじゃ」
昼食を食べ終えた王妃様も話しかけてきたが、こういうのは女性王族と子どもの役割だそうです。
そして、王妃様はアオと何やら意見交換をしていました。
では、馬車に乗って大教会に向かいましょう。
因みに、馬車は護衛も兼ねてうちの馬もついてくることになりました。
パカパカパカ。
「アオって凄いね! お馬さんに乗っているよ!」
ジェフちゃんは、馬車の窓から覗く光景に大興奮です。
うちの馬にアオが乗って操っているので、見方によっては馬が勝手についてきているようにも見えます。
まあ、うちの馬なら行ったことのあるところなら御者なしでも大丈夫だけどね。
帝国やグロー伯爵領に行った際に僕たちと行動していた近衛騎士が馬車の周りを固めているけど、近衛騎士もアオとうちの馬の行動に慣れちゃいました。
程なくして、道中何も問題なく大教会に到着しました。
「よいしょ!」
ジェフちゃんは、元気よく馬車から降りました。
直ぐにアオがジェフちゃんのところに行き、馬も周囲を警戒します。
僕も念の為に探索魔法で周囲を確認するけど、特に問題のありそうな気配はありません。
「今は、ということじゃ。これからどうなるか分からぬ故、警戒を続ける事に越したことはない」
王妃様、僕の心の中を読まないで下さい。
スーも、王妃様にツッコミを入れたい僕を見て思わず苦笑しています。




