散歩の九百二十六話 込み入った話?
その後も、倉庫の中からおかしな魔導具などが出てきました。
全て兵が最優先で押収して、軍の施設に運んでいきました。
そして、倉庫の確認が終わると僕に甘えてきた人がいました。
「シュンお兄ちゃん、抱っこー」
まだ小さいレンちゃんが、僕に両手を広げて抱っこをせがんできました。
幼いから歩くのも大変だろうなと思って、僕はレンちゃんをヒョイッと抱き上げました。
ニコニコしているレンちゃんをよそに、フランたちはふくれ顔に変わっていました。
「フラン、流石に大きくなったんだから抱っこは大変だよ」
「えー!」
フランは僕の話を聞いて思いっきりブーイングをしていたけど、最初に会った時よりも随分と大きくなっているのだから流石に僕も大変ですよ。
たまになら抱っこもいいけど、今は我慢しましょうね。
そして、僕に抱っこされているレンちゃんは、思いっきりニコニコしています。
今まで甘える相手がガード君しかいなかったのもあって、レンちゃんは僕やスー、それに屋敷の使用人に積極的に甘えていました。
子どもらしい明るさを取り戻すことも、僕たちの大事な役目ですね。
暫く屋敷の周囲を確認し、僕たちは屋敷の中に入りました。
すると、シロたちは執務室にいるらしいけど、スーとアオは応接室にいるということでした。
どうやらこみいった話があるそうなので、フランたちはシロたちのところに合流してもらい、僕はスーのところに向かいました。
ガチャ。
「失礼します」
応接室にはスーとこの屋敷の使用人、それに赤ちゃんを抱いた若い女性がいました。
恐らく、この若い女性と赤ちゃんの件で何かあるのでしょうね。
僕は、スーの隣に座りました。
「お待たせいたし、申し訳ありません」
「いえ、こちらこそお忙しい中申し訳ありません」
「あぶー」
僕が頭を下げると、女性も赤ちゃんを抱えたまま頭を下げてきました。
直ぐに、スーがこの女性の事を話してきました。
「シュンさん、この方は嫡男夫人とその赤ちゃんになります。まだ結婚してそれほど時間は経っておらず、今回の件も初めて知ったそうです」
スーが事情を説明すると、女性は再びペコリと頭を下げました。
スーと一緒にいたアオも、この女性の言っていることは間違いないとアピールしていました。
赤ちゃんはもちろん事情なんて知らないだろうし、これは中々難しい状況ですね。




