散歩の九百十四話 金品財宝だらけの部屋
そして、ある意味本拠地というべき場所に向かいました。
ガチャ。
「こちらになります。その、お館様は『天国の間』と呼んでおりましたが……」
「「……」」
「すごーい!」
グロー伯爵家の屋敷の居住スペースの一角にある部屋に案内されると、そこにはとんでもない光景が広がっていた。
シロは部屋の光景に思わずビックリしていたけど、僕とホーネット男爵は思わず閉口してしまった。
部屋中にとんでもない量の金品宝石が飾られていて、豪華な剣や鎧や盾、更にはまるで王様の様な物凄く豪華な刺繍がされた貴族服が飾られていた。
これを見るだけで、グロー伯爵がどれだけ贅沢をしていたかが直ぐに分かった。
「その、お館様は贅沢をする際には一部の使用人しか入れないエリアで豪華な食事をしたりしておりました。なので、殆どの使用人は、お館様が贅沢な生活をしているとは知りません」
「なんというか、隠蔽工作をしてまで贅沢をしたかったとは。あからさまな贅沢な生活だと多くの人に反感を買うから、こんな事までしていたのだな」
侍従長の説明を聞いたホーネット男爵も、もう呆れてしまっています。
とにかく、鑑定魔法で贅沢をして得た物を確認して押収を進めないと。
僕は、通信用魔導具を使って王城に連絡をしてから鑑定作業と押収作業を進めました。
金品の評価額は専門家に聞かないと分からないから、その辺も含めて王城で確認して貰いましょう。
ごそごそごそ。
「何か見つけたよー!」
「これは何かの物の領収証だな。こういう大事な物の管理もできんとは、貴族として失格だ」
シロとホーネット男爵がタッグを組んで贅沢部屋の捜索を進めていたが、この部屋から大量の証拠品を押収していた。
ホーネット男爵の言う通り、何でこんな物がこの部屋にあるのかという疑問を僕も持っていた。
更にホーネット男爵の私室にも入ったのだけど、これまた大きい宝石をあしらったネックレスや指輪などの金品や装飾品がゴロゴロと出てきた。
うーん、元々グロー伯爵家の物らしい品物が全く出てこないけど、押収品は全てがグロー伯爵の私物だった。
トドメに執事の私室に入ったけど、これまた金品宝石がたくさん出てきた。
仮に罰金が出たとしても、押収した金品で余裕で賄えそうです。
こうして、僕達は夕方まで忙しく作業をして、再び応接室に向かいました。




