散歩の九百二話 捜査方針
今回問題になっているグロー伯爵家は、王都からだと普通の馬車で二日で到着する距離に領地を構えています。
今回の申請は領地の農地拡張に伴う補助金申請で、この補助金自体はきちんとした事業としてあります。
しかし、この申請書は数字の書き換えとかもあるのでとてもじゃないけど受付できません。
念の為に農務大臣のところに書類を持っていって確認したけど、やはり却下となりました。
「却下して再度申請を出してきたら、一度目の不正申請の確認ということで現地視察に向かわせよう。以前から税金を誤魔化しているのではないかという噂が流れている」
「では、早速視察班のメンバーを決めないといけませんな。軍と内務にも協力を依頼しましょう」
あの、王太子様と農務大臣、調査班を結成するのは良いのだけど、チラチラと僕の事を見ないで下さい。
そして、僕が調査班につくのならシロ達も付いてきそうです。
スーも含めて、メンバー構成は良く考えた方が良さそうです。
「では、早速グロー伯爵家の王都屋敷に書類を返却する手続きを取る。グロー伯爵家にいつでも乗り込めるように、人員の選定を進めるように」
「「「はっ」」」
王太子様の命令に、全員が臣下の礼を取りました。
何にせよ、グロー伯爵家の動き次第ですね。
こうして、午前中の執務を終えて僕と王太子様は王家専用食堂に向かいました。
「「「もぐもぐもぐ」」」
王家専用食堂では、午前中の勉強を終えた子どもたちがミートソースパスタを食べていました。
みんな仲良く並んでいて、お腹すいたのか一生懸命にミートソースパスタを食べていますね。
スーもいたので、例の件を話しました。
「うーん、また貴族による不正の疑いですか。最近は公務も少ないので、もし現地に行くのなら私も同行します」
忙しい時期が過ぎたので、スーの受け持つ公務も落ち着いたという。
なので、スーが調査班に参加しても問題ないそうです。
「もし、民に苦労を強いているのなら、妾も一言申さないとならぬな。民あってこその貴族だと、領地持ちも貴族なら痛いほど分かるはずじゃ」
スーと一緒に話を聞いていた王妃様も、かなり憤慨していた。
王妃様の言ったことはとても大切な事だし、貴族にとって基本な話です。
僕も何となくこのまま収まることはなさそうな気がするので、多分調査班を結成して動く事になりそうですね。
「「「おかわりー!」」」
そして、子どもたちは元気よくおかわりを頼んでいました。
お腹を壊さない程度にたくさん食べて下さいね。




