散歩の八百九十七話 ジェフちゃんがみんなにマリアちゃんを紹介します
「ふむ、大丈夫そうじゃのう。では、妾たちは公務に戻るぞ」
「何かあったら、直ぐに教えてくれ」
王妃様、宰相を始めとする方々は無事に子どもたちの顔合わせが終わったので、満足そうな表情をしながら勉強部屋を出ていきました。
全員忙しい立場だから、いつまでも子どもたちの事を見ていられません。
デニー君とドット君は祖父の農務大臣が勉強部屋から出て行って少し不安そうにしていたけど、賑やかなフラン達が話しかけたので泣き出すような事はしていませんでした。
さてさて、今日はみんな仲良くなるようにと一緒に色々なところに行くことにします。
「みんな、こっちだよー!」
「「「はーい」」」
最初の場所では、ジェフちゃんが張り切ってみんなを案内しました。
これから向かう場所には、事前に僕たちが行くと伝えています。
僕やスー、それにデンバーさん、マーナさん、侍従も一緒についてきました。
ジェフちゃんの頭の上にアオが乗っていて、一応周囲の安全に気を使っていました。
コンコン。
「おかーさま、きたよー!」
「ええ、入って頂戴」
ガチャ。
最初に子どもたちがやってきたのは、王太子妃様とマリアちゃんのいる部屋です。
今後もマリアちゃんと接する機会は多いだろうし、何よりもジェフちゃんが妹を紹介したくて堪らないみたいですね。
「お母様、新しいお友達だよ!」
「いらっしゃい、待っていたわ。あまり騒がずに、静かに見て行ってね」
「「「はい!」」」
王太子妃様はちょうどマリアちゃんの授乳とオムツ交換を終えたらしく、マリアちゃんもベビーベッドでご機嫌な表情をしていました。
ベビーベッドの周りにちびっ子たちが集まっていたので、マリアちゃんも興味深そうに子どもたちを眺めていました。
ぴょーん。
「「「あっ」」」
すると、アオがジェフちゃんの頭の上からベビーベッドの中に飛び乗って、触手を器用に使ってマリアちゃんのベビー服のよれを直していました。
そんなアオのベビーシッターぶりに、特に新しい子どもたちは目をまんまるにするほど驚いていました。
「アオは、凄いスライムなんだよ!」
「「「凄ーい!」」」
「あうー」
ジェフちゃんが自信満々にアオの事を説明をすると、新しい子どもたちは思わず興奮していました。
一方のアオはというと、マリアちゃんに自身に触手を握らせて遊んであげていました。
マリアちゃんも、生まれた時から近くにいたアオのことを全然怖がっていませんね。
そんな楽しそうにしている子どもたちの事を、王太子妃様を始めとする面々はにこやかに見つめていました。




