散歩の八百九十二話 新しいお友達
安息日の今日、僕たちは大教会に来て奉仕活動を行います。
実は、今日は二つの目的があってやってきました。
「き、緊張します……」
「一生懸命魔法の練習をしていたのだから、きっと大丈夫よ」
「「大丈夫!」」
一つ目は、ガード君が本格的に治癒師としてデビューする事になりました。
ガード君本人はとても緊張しているけど、スーだけでなくホルンとヴィヴィもいるから大丈夫だと思います。
そして、二つ目は僕たちの前にやって来た子どもたちです。
「「お、おはようございます……」」
「「「おはよーございます!」」」
明日から新しい子どもたちが王城での勉強に参加する事になったんだけど、実は今日二つの貴族家の子どもの都合がついたので急遽奉仕活動に参加する事になりました。
男の子と女の子一人ずつで、初めて会うのでちょっともじもじしていました。
一方、ジェフちゃんやシロ達はとても楽しみにしていて、新しいお友達に会えるのを楽しみにしていました。
「ほら、挨拶しましょうね」
「あの、カールです……」
「おお、リアーナお姉ちゃんの弟なんだね!」
「わわっ!」
シロがはしゃぎながら男の子の手を引いたけど、なんと僕たちもよく知っているブルームバーグ公爵家のリアーナさんとフランツさんの末の弟でした。
ちょっと大人しい感じの男の子だけど、ブルームバーグ公爵家譲りの青い髪の毛を坊ちゃん刈りにしていました。
「あ、アンジェです……」
「ウチの末娘だ。まあ、まだ子どもだから腕っぷしは期待しないでくれ」
そして、二人目は軍務大臣の末娘のアンジェちゃんでした。
軍務大臣はスキンヘッドだから分からなかったけど、真っ赤に燃えるような赤いロングヘアですね。
それと、軍務大臣も小さな子どもに戦闘力を期待しないで下さい。
ちなみに、二人ともジェフちゃんやフランたちと同じく今年六歳になります。
家系的にもしっかりしているし、シロとアオのチェックも問題ありません。
なので、早速シロ達が二人を囲んで色々と質問を始めていました。
スーも一緒に話をしているけど、雰囲気としてはかなりいいですね。
トトトトトン、トトトトトン。
「シュンさんは、相変わらずとんでもない速さで野菜を切っていきますね」
「シュンが一人いるだけで、軍の食事もかなり違ってくる。もう何人かシュンが欲しいな」
僕はというと、身体能力強化魔法を全開にして炊き出しの仕込みをしていました。
リアーナさんは相変わらず僕の事を褒めてくれたけど、軍務大臣はよく分からない謎の事を言っていた。
流石に、僕は分身とかできないですよ。




