散歩の八百九十一話 スーが騎士団の施設に表敬訪問に来ます
順調に捜査機関の引き継ぎも進んでいったのだけど、実は暫く週一で騎士団の施設に行くことになりました。
ステージア男爵が放置した事件の書類作りがかなり残っていて、僕も手伝うことになったからです。
ちなみに、僕が捜査機関に行く日はシロ達も王城で勉強しています。
「シュン、すまんな。こういう資料作りになると、流石にシュンの右に出る者はいない。経験を積めば何とかなるのだが、今はまだ経験が少ない者が殆どだ」
資料をまとめている横でガンドフ様が申し訳なさそうに僕に言ってきたけど、僕はこういう書類作りも苦にならないから全然大丈夫です。
それに、新しい捜査員も一生懸命仕事を覚えようとしているし、直ぐに戦力になるはずです。
そして、今日は新しい捜査員を激励する為にスーが公務として騎士団の施設にやってくることになっています。
僕たちは、お昼前になったら一旦仕事の手を止めて騎士団の施設前に並びました。
スーも騎士団の前に停まった馬車から降りてきたのだけど、何故か護衛にアオがついていました。
アヤとアイがスーの側に控えているのはいつも通りだけど、馬車を引っ張っているのもウチの馬だ。
「全員整列、これよりスーザン王女殿下よりお言葉を賜る」
ガンドフ様もスーの周りの状況に気がついているけど、あえて普段と変わらずに指揮を執っていた。
ちなみに、僕は新人捜査員の方ではなくガンドフ様達の列に並んでいます。
新人捜査員は、目の前に王女様がいてかなり緊張していますね。
「皆様、日頃より厳しい捜査の任務につき感謝申し上げます。新しい捜査員がこうして配属され、王家を代表してお祝い申し上げます。市民の安全を守る事も大切ですが、ひとたび事件が起きた際には皆様のお力が不可欠となります。今後も日々精進し、国民のために仕事をされる事を切に願います」
「スーザン殿下に、敬礼!」
うん、スーも堂々と祝辞を言っていますね。
ガンドフ様も、姪っ子の成長に一瞬ニンマリとしながらも直ぐに表情を引き締めて命令を出していました。
そして、スーは直ぐに馬車に乗り込んで騎士団の施設を後にしました。
勿論、スーの乗った馬車が騎士団の施設から見えなくなるまで僕たちも敬礼の姿勢でいます。
「なおれ。では、解散して各自昼食をとるように」
「「「はっ」」」
時間にすると僅かだったけど、それでも王家の者にお目通りできて新人捜査員はかなり喜んでいた。
さてさて、僕は一旦王城に戻ってから昼食なので、歩いて王城に向かいました。
「「「一緒に行きたかったー!」」」
「ふふ、ごめんね。これはお仕事だからね」
王家用の食堂では、一足先に着いていたスーにシロ達がぶーぶーと文句を言っていました。
スーの言う通り、これは王家の公務なのだから仕方ないと思いますよ。
「シュンさんの騎士服も、とてもカッコよかったですよ。真面目な表情をしていて、引き締まっていましたわ」
そして、スーは僕にニコリとしながら話しかけてきました。
先程の凛々しい王女様の表情とは違って、年相応の少女の表情ですね。
さて、僕も昼食を食べて午後の仕事も頑張りましょう。




