散歩の八百八十七話 治療と慶事
三十分位で、様子を見に行った面々が応接室に戻ってきました。
みんな良い表情をしているので、何か良いことがあったみたいですね。
「あのね、おばあちゃんは治療したらすっかり良くなったよ。あとね、お姉ちゃんに赤ちゃんがいたんだ!」
「「「赤ちゃん!」」」
シロがニコニコしながら報告してくれたけど、かなりビックリする内容も含まれていた気がする。
なので、スーが要約して色々と教えてくれました。
「まずホーネット男爵夫人様ですが、胸の病気を患っておりました。娘様が亡くなったショックも重なって、より一層症状が重くなったのだと推測されます。治療後は体調もかなり良くなり、ホーネット男爵夫人様もガード君とレンちゃんを涙ながらに抱きしめていました」
胸の病気ってことは、ホーネット男爵夫人は心臓が悪かったのかもしれませんね。
となると、娘が殺されたと聞けばより悪化するのは想像に難くないです。
何にせよ、治療が上手くいって良かったですね。
「そして、ご子息の奥様ですがちょうど悪阻と重なってしまったのかもしれません。幸いにして体調は改善しておりますし、お腹の中の赤ちゃんも順調に育っているみたいです」
「おお、まさか嬉しいことが判明するとは。スーザン殿下には、家族のものを治療して頂き本当に感謝申し上げます」
予想外の慶事が判明し、きっとホーネット男爵家にとって明るい影響を与えるでしょうね。
すると、レンちゃんがホーネット男爵の側に行きました。
「おじいちゃん、レンはお姉ちゃんになるの?」
「ああ、そうだよ。レンもお姉ちゃんだ」
「そーなんだ、楽しみ!」
ホーネット男爵は、目尻に涙を浮かべながらニコニコしているレンちゃんを抱っこしていました。
ホーネット男爵にとっても、家族の慶事が分かってとても嬉しいのですね。
「あと、ガード君には聖魔法の素養がある事が分かりました。レンちゃんは、風魔法ですね。なので、私の屋敷にいる間に魔法の基礎も教える様にします」
「何から何まで、本当にかたじけない。改めて、皆をそして孫を招待したいと思う」
ガード君はとても優しい性格だから、苦しんでいるお祖母ちゃんを何とかしたいと魔法を放ったらしい。
威力はかなり小さいけど、それでもお祖母ちゃんを治療できたみたいだ。
何にせよ、人を助ける経験をすることが出来たのはとても大きいですね。
こうして無事にホーネット男爵家への訪問も終えることが出来たし、ガード君とレンちゃんは新たに魔法の訓練も頑張るという目標もできました。
でも、まだ二人は幼いし少しづつ勉強していきましょうね。




