散歩の八百八十五話 ステージア男爵の裁判の結果
二日後、予定通りに王城で謁見が行われました。
実は、裁判は予想以上の展開となりました。
というのも、ステージア男爵は幼い兄妹の母親である側室への殺人罪も適用されたからです。
更に、ステージア男爵夫人にも側室への殺人罪が適用されました。
直接の死因となった暴行に加えて二人が日常的に側室に暴行を加えていたことも判明し、ホーネット男爵家への慰謝料も当初の予定よりも増額されました。
嫡男も父親と共に捜査機関の不正に関与していたので、貴族としての権利剥奪に廃嫡となりました。
そして、ステージア男爵夫妻は無期の重犯罪者用の強制労働施設へ送られ、正妻の子である長男も有期の強制労働施設に送られました。
勿論ステージア男爵の爵位は取り上げられ、屋敷や資産も全部没収されます。
ステージア男爵とグルだった捜査員は軒並み免官の上で強制労働施設に送られ、上司も降格の上で多額の罰金刑になりました。
「本当に、ステージア男爵家の資産は綺麗さっぱりなくなりましたね」
「犯罪によって得た金品だから、殆ど無くなるのは当然だ。屋敷の者も不正に手を染めて捕縛された者がいるし、どのみち屋敷経営は上手くいかなかっただろう」
謁見の後で応接室で陛下や閣僚と共に話をしているけど、ステージア男爵家はそこまでしないと自身の虚栄心が満たされなかったらしい。
きっと、他人がどうこう言っても永遠に改善されることはなかったのでしょう。
そんな僕の横には、ちょっと不安げなガード君の姿があった。
ガード君とレンちゃんは事件発覚前に僕たちが保護したのもあって、当初の予定通り貴族としての権利などは残って僕とホーネット男爵家が後ろ盾となりました。
年内は僕の屋敷にいて、新年の謁見が終わってからホーネット男爵家に移動する事になりました。
すると、ガード君がすくっとソファーから立ち上がってペコリと頭を下げました。
「その、お父様がごめんなさい」
「ガードよ、そなたは何も気にしなくて良い。ただ、頭が良いから幼いのに責任を感じているのだろう。そなたは、勉強を頑張ってジェフと良い友誼を結べば良い」
「ぐすっ、はい……」
涙目のガード君の事を陛下は褒めていて、ホーネット男爵が優しく抱きしめていました。
それと共に、この場にいる大人たちは被害者である息子にこんな事を言わせるステージア男爵は、本当に駄目な父親だと憤慨していました。
何れにせよ、事件の後始末は残っているけど一区切りつくことになりました。
そして、今日は仕事終わりにみんなを連れてホーネット男爵家に行く事になっています。
ホーネット男爵夫人と嫡男の嫁が体調を崩していたらしいけど、調子が良くなったのかも併せて確認に行きます。




