散歩の八百八十二話 今日の騎士団のお手伝い
着替えを終えた僕とシロは、騎士団長の執務室から騎士団の建物の前に移動しました。
すると、そこには僕もよく知っている人が僕たちを待っていました。
「ブレッド様が一緒なんですね」
「私ならシュンもシロもよく知っているし、アオの力も分かっているからね」
騎士服に身を包んだブレッド様がシロの頭を撫でながら話しかけてきたけど、ブレッド様なら僕もとても安心です。
うちの馬もブレッドさんと知り合いだし、普通に挨拶をしていました。
「今日は、ある犯罪組織の拠点の捜索を行う。証拠品の押収がメインになる」
「「「はい」」」
「ふふふ、シロが何でも見つけちゃうよ!」
ブレッド様が今日の捜査方針を他の騎士団員も含めて話をすると、シロとアオが物凄いやる気を見せていた。
確かに、シロは探し物が大得意だもんなあ。
そして、僕たちも馬に乗って現場に向かいました。
「どこにでもありそうな、普通の商店ですね」
「危険が伴うスラム街よりも、こういう商店街の普通の店舗を犯罪組織の拠点にしていることがある」
やってきたのは普通の町中だったので、僕はかなり拍子抜けしてしまった。
こんなところに犯罪組織の拠点があるなんて、本当に思ってもいなかった。
シロとアオは、騎士団員と共に意気揚々と建物の中に入っていった。
「取り敢えず、隠されている証拠品を探せばいいんですね?」
「ああ、そうだ。幾つかの重要な物が出てきていないんだ」
犯罪組織の重要な物は大抵押さえたのだけど、まだ探さないといけないものがあるとブレッド様は言っていた。
すると、ある部屋の中に入っていったシロとアオが、さっそく何かの書類を手にして僕たちのところにやってきた。
「本棚の一番上にあったよー!」
「えーっと、これは探していた書類だよ。僅か一分で見つけるとは……」
ブレッド様も思わず苦笑いしていたけど、その他にも各部屋を回って見つけられなかった資料をシロとアオが発見していた。
更に、こっそりと資料を奪還しようとした犯罪組織の構成員を、うちの馬が気がついて撃退していた。
こうして一時間ほどで捜索が終わってしまったので、午前中は追加で三件の捜索を行いました。
「いやはや、いきなり凄い成果をみせたね。午後も頼むよ」
「頑張るよ!」
騎士団員の施設に戻って昼食を食べていたら、大活躍だったシロとアオのことをガンドフ様がニコリとしながら褒めていた。
こうして、一日かけて数カ所の犯罪組織の捜索を行い、多くの証拠品を集めた。
集めた証拠品は、騎士団と軍の合同捜査本部で詳しく分析されます。
「フランも、宝探ししたかった!」
帰りの馬車内で僕たちの活躍を聞いたフランが思いっきり不満を口にしていたけど、こればっかりは危ないので仕方ないですね。
フランたちは、勉強するのが最優先です。




