散歩の八百七十三話 幼い兄弟の事情
ところが、幼い兄妹は炊き出しのスープを食べてホルンからの治療を受けると直ぐに教会の長椅子に寝ちゃいました。
だいぶ疲れていたのが目に見えていて、二人に毛布をかぶせながらかなり可哀想に思えました。
ジョディーさんが幼い兄妹の側にいてくれるみたいなので、そのままお願いしました。
「うーん、少し痩せ気味ですし食事もろくに食べられなかったのでしょうか……」
「何れにせよ、あまり良い状況ではない。近衛騎士の報告次第では、直ぐに対策を取るのじゃ」
王妃様も、かなり難しい表情をしていた。
あの幼い兄妹は、実家でよくない状況に置かれているのは想像に難くなかった。
すると、程なくしてステージア男爵家に行っていた近衛騎士が大教会に戻ってきた。
「王妃様、報告いたします。ステージア男爵に確認を取ったところ、先月側室が亡くなったとのことです。その際に、葬儀に関して側室の実家のホーネット男爵家と揉めていたことも発覚しました」
「つまり、側室の実家と揉めたから側室の血を引く幼い兄妹が邪魔になった訳か。ふざけている連中じゃのう。直ぐに、ホーネット男爵家に連絡を取るのじゃ」
「はっ」
王妃様も、思わず呆れてしまった報告内容だった。
何にせよ、側室の実家がどういう対応を取るのかが鍵になりそうだった。
しかし、戻ってきた近衛騎士の反応はあまり良くなかった。
「ホーネット男爵に確認を取りましたが、今はまだ孫を受け入れるだけの精神状態ではないとのことです。話を聞く限り、嫁いだ娘はろくに治療を受けることなく亡くなったとのことです」
「つまり、お互いに遺恨が残っている状態と言う訳じゃな。ステージア男爵の対応が良くないのが一番の原因じゃが、お互いに意地になっておるのう」
何とも複雑な状況で、王妃様も溜息をつくばかりだった。
何れにせよ、ステージア男爵の件は揉め事になるかもしれない。
そして、何となく予想していた動きになった。
「書類上の手続きを済ませて、スーとシュンのところで保護するのが一番じゃ。何にせよ、このまま放置して置くわけにはいかぬ」
「畏まりました。私も、あの兄妹を放置できません」
ということで、王妃様の采配で幼い兄妹は僕の屋敷で預かることになった。
ステージア男爵家とホーネット男爵家のいざこざが落ち着くまでの暫定的な保護になるけど、そもそも問題が解決するかどうかが不明です。
スーも了解しているけど、とにかくあの幼い兄妹を安全なところで保護しないとならない。
暫くは、十分に気をつけるようにしよう。




