散歩の八百六十六話 何とか一週間で落ち着いて欲しい
ということで、翌日からはスーとシロが一緒に公務と面会をこなすことになりました。
王女様のスーを名誉男爵のシロが支えるという、職務上も特に問題ない構図となっています。
僕はというと王太子様と一緒に執務室で仕事をしていて、時々王太子様は面会しないといけない貴族などと会っていました。
「とても可愛らしい妹君でしたな」
「ええ、とても小さくて愛らしいでしたわ」
「うん! マリアちゃんは、とっても可愛いんだよ!」
執務室の一角では、臨時に設けられた勉強スペースでジェフちゃんがニコニコしながらデンバーさんとマーナさんに話をしていました。
お二人も出産祝いを持ってきていて、その際にジェフちゃんがおじいちゃん先生とお姉ちゃん先生にマリアちゃんを紹介すると張り切っていました。
王太子妃様も家庭教師のお二人のことはよく知っているので、にこりとしながらマリアちゃんを見せたそうです。
ちなみに、アオ曰くマリアちゃんは小さいけどとても元気だそうです。
それでも、当初の予定通りアオは一週間は王太子妃様とマリアちゃんの側にいるそうです。
「では、皆さん勉強を始めましょう」
「「「はーい!」」」
マーナさんがちびっ子たちに声をかけていたけど、デンバーさんとマーナさんが授業をする際には、フランたちの分の授業料を払っています。
デンバーさんとマーナさんは最初僕からお金をもらうことを渋っていたけど、そこは王太子様と王妃様にお願いして折れてもらった。
フランたちも、デンバーさんとマーナさんの教え方は分かりやすいととても評判だった。
その間、僕はどんどんと書類整理を進めて行きます。
えーっと、これがあれであれがこれで……
これは出し直しだ。
あっ、これも出し直しだ。
全部同じ人からの申請書類だ。
すると、僕の横に面会を終えた王太子様がやってきた。
「ふむ、母上が次にこの貴族に会うと言っていたな。ついでだから、この書類も渡してやろう」
あっ、タイミングが良いのか悪いのか、既にその貴族は王城に着いているという。
王太子様は、職員に指示を出して王妃様のところに書類を持っていかせた。
そのまま、王太子様は席に座って書類にサインを始めた。
「シュンもそうだが、暫くは他の職員にも負担をかけてしまう。一週間で落ち着けばいいがな」
王太子様は苦笑しながらサインをしていったが、ヴィクトリー男爵家に赤ちゃんが産まれたときでさえ一週間かかったのだ。
王家なら、更に日数もかかりそうですね。




