散歩の八百六十五話 挨拶対応でみんなヘロヘロ
こうして、夕方まで王太子様は執務室に戻ってきませんでした。
ジェフちゃんたちは、お絵かきが終わったら普通に勉強して、そしてお昼寝をして過ごしました。
ガチャ。
「ふう、任せきりにして悪かった」
「あっ、お父様だ!」
かなり疲れた表情の王太子様が執務室に入ってきて、ジェフちゃんも王太子様の足に抱きついていました。
僕も急いで王太子様の側に行ったけど、まずは回復魔法をかけました。
シュイン、ぴかー!
「王太子様、疲れは取れていないかもしれませんが如何でしょうか?」
「いや、だいぶ体が楽になった。感謝する」
王太子様は、肩をぐるぐると動かしていた。
どうやら、色々な貴族がお祝いを持ってきたみたいですね。
「まともな貴族からのお祝いなら、ありがたく頂く。あちらも、我々のことを気遣うからな。自分勝手な連中とは、本当に相手をしたくない。まともに相手をするだけ、時間の無駄ということだ」
ソファーに座った王太子様が、珍しく毒を吐いていました。
でも、王太子様でこのくらいなら、きっと王妃様はもっと怒っているはずですね。
そして、政務が止まったのもあり、明日は原則王妃様が対応することになりました。
「あと、シロがマリアの絵を描いてくれて本当に助かった。王女様に会わせてという連中が多かったから、この絵で我慢してと全て断った」
マリアちゃんが生まれたばかりってのもあるので、当分は親族以外は面会させないという。
僕たちは、スーの身内という立場になるそうです。
「マリアの誕生を心から祝ってくれるのは、ほんの一握りの貴族だろう。なので、それ以外の貴族とは面会時間も短くする予定だ」
これは陛下の決定でもあり、マリアちゃんが落ち着いたとしても暫くは面会させないそうです。
アオが付きっきりで王妃様とマリアちゃんの側にいるから、どっちにしても無理でしょう。
「シュンは、暫く執務室に来てくれ。私も何かあったら動かないとならないし、ジェフの面倒を見る人も必要だ」
ということで、正式に当分は僕たちは王城に通うことになりました。
ジェフちゃんの家庭教師のデンバーさんとマーナさんも、当面は王太子執務室で勉強を教えることになりました。
ということで、スーも合流したので僕たちは屋敷に帰ることになりました。
「はあ、本当に自分のことしか考えない貴族が多かったです。マリアちゃんのことは二の次で、上手く王家に売り込むことしか考えていないでしたわ」
夕食時に、珍しくスーもぷりぷりとしていました。
スーも、かなり大変な貴族を相手にしていたみたいですね。
そして、シロにこんなことを頼んでいました。
「シロちゃん、明日は私と一緒にお手伝いしてくれるかしら。どうも、不審な感じのする人がいたのよね」
「悪い人は、シロが全部見つけちゃうよ!」
もしかしたら、まだ未成年のスーに上手く取り入ろうとする貴族がいたのかもしれない。
シロがやる気を見せていたけど、僕も気をつけないといけないね。




