散歩の八百四十九話 不良家庭教師
なんで馬の鞭というものがあるのかと思っていたけど、アオが痺れている男のバッグを調べると次から次へと出てきちゃいけないものが出てきた。
もっと小さな鞭に首輪に腕輪など、なんでこんなものが出てくるのってものがたくさん出てきた。
陛下と王太子様の怒りは、もはや頂点に達してしまった。
「どうやら、貴様はやってはいけないことをしたみたいだな。存分に取り調べを受けてもらおう」
「たとえ治療したとはいえ、ジェフの体には鞭に打たれたという記憶が残る。それは、一生消えることがないのだぞ!」
「あががが……」
体が痺れている家庭教師は、そのまま兵に拘束されて連行されていった。
かなり厳しい取り調べが待っているはずですね。
もちろん、あの家庭教師が配属された理由も詳しく調べられるはずです。
「ジェフ、もう大丈夫だ。すまんかったのう」
「あーん!」
ジェフちゃんは未だに陛下に抱きついたまま号泣しているけど、陛下が勉強部屋の前を通過したのは本当にたまたまらしかった。
そうしたら部屋から鞭で打たれる大きな音が聞こえてきて、ジェフちゃんの泣き声も聞こえてきたという。
後は、アオが家庭教師を雷魔法でノックアウトして、勉強部屋の鍵を開けたらしい。
陛下は用事があるらしいので、王太子殿下がジェフちゃんを抱っこして執務室に戻った。
現時点での王太孫であるジェフちゃんへの大逆罪容疑になるし、かなり大きな事件になりそうです。
「ぐすっ、い、今までも、あの人、ふえっ、机を叩いたり、していたの。ぐずっ、今日は、ずずっ、いきなり、叩いてきて……」
「そうか、そうか。本当に悪かった。まさか、そこまで激しい性格だとは思わなかった」
王太子様がソファーでジェフちゃんをあやしながら話を聞いていたけど、元々素行が悪い家庭教師だったみたいですね。
王太子様が家庭教師とあった時はニコニコとしていたみたいなので、二面性を持っているのでしょう。
アオもジェフちゃんの頭の上に乗って、優しく撫で撫でしていますね。
そして、王太子様がある指示を出しました。
「家庭教師全員、再度面接を行う。その際にアオに鑑定をしてもらおう。もはや、状況を確認する必要はない」
「「「はっ」」」
王太子執務室の職員が直ぐに動き始めたけど、アオもやる気満々になっていました。
何れにせよ、今週のジェフちゃんの家庭教師はお休みで、ゆっくり療養することになりました。
そして、この人が王太子執務室に姿を現しました。
「妾も家庭教師の面接に参加しよう。これでも簡易鑑定は持っているのでな。孫を傷つける家庭教師なんぞ不要じゃ!」
「おおー」
なんと、フルメタルプレートの完全武装した王妃様が僕たちの前に姿を現したのです。
えーっと、貴族家に討ち入りするのですか?
王妃様のあまりの迫力に、ジェフちゃんは思わず泣き止んでしまいました。
というか、不良家庭教師はこの国で一番敵に回してはいけない人に火をつけちゃったのかもしれません。




