散歩の八百四十二話 報告を行う謁見の日
その後も、謁見の日までに僕たちが知り合いの屋敷に行ったり、逆に知り合いが僕たちの屋敷に来たりしていました。
僕たちは軍人の知り合いが多いのだけど、全員お土産を喜んでくれました。
何故か僕達が作った魚の開きが物凄く人気があったけど、帝国産の料理を気軽に食べられるということらしい。
ちなみに、王都は大きな湖がある温泉地まで馬車で一日で着く距離にあるので、魚が珍しいわけではありません。
でも、帝国と同じ料理があるとは限らないもんね。
また温泉地に行くことがあれば、どんな感じで魚を加工しているかを確認しよう。
そして、今日は報告を行う謁見の日になった。
報告には僕とスー、それにシロと随行員の面々が参加することになっている。
「「「アオちゃん、いいなあ……」」」
フランたちがアオを羨ましく見ているけど、実は今日はアオも謁見に参加することになっていた。
道中護衛を頑張ったのもそうだけど、帝国の皇帝から軍のものを指導してもらったと感謝されたのだ。
帝国の皇帝が褒めているのに、自分の国の王国の国王がアオを褒めないのはどうかという話になったのだ。
まあ、アオはとても強い上に賢いから、謁見でも卒なくこなしそうだよね。
なお、フランたちは屋敷でお留守番をしながらお勉強です。
同じく屋敷に残るジョディーさんが、ちびっ子の面倒をみてくれるそうです。
「シュンさん、少し服がよれていますよ」
そして、玄関先でスーが僕に近寄って服のよれを直してくれた。
もはや、うちの屋敷の面々は気にすることすらしなくなった。
馬車に乗って王城に向かうと、直ぐに応接室に案内された。
「あのね、おさかなおいしかったよー!」
応接室に着くと、王太子様とジェフちゃんが僕たちのことを出迎えてくれた。
シロたちが作った魚の開きがよほど美味しかったのか、ジェフちゃんはニコニコしながら元気よく報告していた。
シロも思わずニコニコしていますね。
ちなみにこの場にいない王太子妃様は、体調がすぐれないので休んでいるそうです。
後で、念の為にスーが王太子妃様の治療をするそうです。
「そうそう、今日の謁見では色々なことを報告する予定だ。少し長くなるかもしれないが、そこは了承してくれ」
「ちょうど新年が始まってから半年が経ちましたから、話すこともたくさんありますね」
「シュンは話が早くて助かる。謁見が終わったら、応接室で詳しく説明する予定だ」
どうも、王太子様も色々やることがあるという。
謁見が伸びる分なら、僕たちは特に問題ありません。
「ねーねー、またおいしいおさかなをつくってね!」
「ふふ、シロにお任せだよ!」
「やったー!」
ジェフちゃんのお願いに、シロとアオが自信満々に答えていた。
となると、時間が出来たタイミングで温泉地に行くことになりそうですね。




