散歩の八百三十六話 謁見
パカパカパカ。
「わあ、王城が見えてきたよ!」
「「「本当だ!」」」
僕たちは、王都に隣接している王国直轄領を早朝に出発した。
そして、お昼前には無事に王都に到着した。
王城が見えると、シロたちは懐かしさから大興奮し始めていた。
かくいう僕も、何だか懐かしさを憶えていた。
王都を出発してから二カ月は経っていないけど、それでも季節は春から初夏に移っていた。
町並みを歩く人たちの服装が変わったところが、視覚的にも季節が変わったと感じた。
そして、僕たちを乗せた馬車は王城に到着した。
馬車を降りた僕たちは、そのまま謁見の間に通された。
「王城も、何だか久しぶりだね」
「ふふ、働いている人も変わりありませんよ」
シロが王城の中をキョロキョロとしながら歩いているが、確かにシロの言う通り使用人は変わっていなかった。
でも、僕たちを案内する文官が少し変わったような気がするよ。
その辺は、この後会う偉い人たちに話を聞いたほうがよさそうですね。
先ずは、謁見で到着報告をしましょう。
僕たちは謁見の間に到着し、膝をついて頭を下げていた。
すると、直ぐに陛下たちが袖口から入ってきた。
「皆のもの、面をあげよ」
陛下の声で、僕たちは顔を上げた。
そして、直ぐにスーが到着の報告を始めた。
「国王陛下に報告いたします。スーザン、只今帝国より戻りました」
「うむ、大義であった。帝国より、とても素晴らしい来訪であったとお褒めの言葉もあった」
「もったいないお言葉でございます」
事前にこういうと決まっていた言葉のやりとりなので、特に問題なくつつがなく報告は終わった。
そして、僕が疑問に思ったことは謁見終了後の応接室に集まった時に陛下が教えてくれた。
「男爵家に闇組織のものが紛れ込んでいた件で男爵の母親の実家を調べたら、王城の一部文官も闇組織に繋がっているものがおった。闇組織に繋がっていた文官を捕縛した後、新たな文官を登用したのだ」
あの男爵領に闇組織が絡んでいた件が、そんなにも大きなことになっていたなんて。
更に、今は軍にも不審者が紛れ込んでいなかったか確認をしているそうです。
本当に闇組織って、叩いても叩いてもいつの間にかどこからか湧き出てくるね。
そして、話は別件に移りました。
「そうそう、皇帝陛下がシュンは料理も格闘もとても強いと褒めていたぞ」
陛下が上機嫌に話していたけど、皇帝陛下は特に料理で僕のことを褒めていたという。
何にせよ、両国の友好の架け橋に慣れて良かった。




