散歩八百三十五話 王都前まで戻ってきました
東の辺境伯領を出発した僕たちは、順調に王都に向けて進んでいました。
多少動物や魔物が出るレベルなんて、僕たちにとっては些細なことです。
出現した動物や魔物は、全てうちの馬が蹴散らしていました。
うちの馬一頭が馬車列の先頭にいて、アオが御者をして警戒をしていました。
それって護衛の軍の仕事じゃないかなと思ったけど、それでも馬とアオはやる気満々でした。
ドーン、ドーン。
「えーっと、ここがこうでこれがこうで……」
「「「カキカキ……」」」
またもや僕たちの前方から魔法が放たれる音がしているけど、シロたちも全く気にせず勉強をしていた。
車列が停まることもないし、特に問題ないでしょう。
そして、道中一番の問題が起きた男爵領に到着した。
まだ男爵領内に国軍が駐留していたけど、どうやら町中は混乱とかしていないみたいだ。
「改めて、スーザン殿下には大変なご迷惑をおかけしました。こうして、国軍が入ることにより領内も安定しております」
男爵の屋敷に行って応接室で男爵と面会したけど、どうやらあの後で闇組織の連中が現れるということはなかったみたいですね。
ちなみに、男爵家に闇組織に関与している執事を送り込んだ男爵の母親の実家にも捜査の手が伸びていて、関係者が捕縛されたという。
王都に戻ったら、僕たちもその辺りの対応をするんだろうなあ。
すると、男爵はあることを僕に言ってきた。
「そういえば、東の辺境伯領で行われている花見祭りで雷撃の料理人が再び現れて料理を披露したと噂になっておりました。シュン様は、本当に凄い料理人だったんですね」
うん、きっと男爵は悪気なく言っているのだろう。
現に、目をキラキラさせながら話をしていた。
うーん、やっぱり冒険者ではなく料理人として色々と有名になっちゃったよ。
ちなみに、ホルンの作ったまんまる焼きもとても有名になっていたらしく、小さな料理人が大活躍していたということです。
いずれにせよ、男爵領が平穏無事で安心しました。
その後も、道中の町で補給をしながら進んで行った。
そして、段々と王都に近づいて行き、無事に王都前にある王国直轄領に到着した。
「じゃあ、今日書いたところまでで陛下に提出するからね」
「「「はーい」」」
日々のことはスーが通信用魔導具で報告していたけど、シロたちも日記を毎日つけていた。
この日記も、書くのは今日が最後です。
いよいよ、明日には王都に到着しますね。




