散歩の八百二十九話 続、続、料理教室
「「「おはよーございます……」」」
翌日、再び奉仕活動を行うために僕たちは教会に向かいました。
すると、どよーんとした雰囲気のサマンサさんたち三人の姿がありました。
前日に引き続き料理教室を受けることを強制されているので、最初からやる気が底辺なのでしょう。
でも、頑張って料理を覚えないと嫁ぎ先がなくなると母親に発破をかけられているもんね。
そして、今日もまたサマンサさんのお母さんでもある実行委員長の奥さんが荷物搬入係を兼ねて来ていました。
「先代奥様、今日は娘の不器用な料理をお見せすることになり大変申し訳ありません」
「いえいえ、せっかくのいい機会ですからキッチリと覚えましょう。私も、万が一に備えて最低限の料理はできるように教育を受けましたので」
そして、実行委員長の奥さんと先代奥様が表情はにこやかだけど結構キツイことを言っているよ。
でも、これでサマンサさんたちは更に逃げ場がなくなりました。
「「「よろしくお願いします!」」」
「うん、よろしくな。キッチリと教えるよ」
そして、三人のもう一人の幼馴染のディアナさんは、孤児院から追加で来た治癒師の卵に回復魔法を教えるという大事な仕事があります。
もちろんスーたちも治療を教えるけど、ここは東の辺境伯領にいる冒険者兼治癒師が教えたほうが良いのではということになりました。
「「「一日お願いします」」」
そして、僕のところにも料理を教わりに孤児院の子が三人やってきました。
基本的にサマンサさんたちは野菜とお肉を切ることを繰り返しやるので、先に孤児院の子を教えることになりました。
でも、その前に今日の仕込みをしちゃいましょう。
僕とアオに加えて、なんと幼馴染四人のシーフの人といるスライムのリーフも包丁を触手で持って高速料理を始めました。
トトトトン。
「おい、何でいつも一緒にいるリーフの方が料理が上手いんだよ……」
リーフの素早い料理を見た実行委員長の奥さんが、サマンサさんたちに情けないと声をかけていました。
というか、三人の料理技術が少し戻っているかもしれない。
僕は、仕込みをスライム二匹に任せてサマンサさんたちにもう一度包丁の使い方を教えます。
「食材は猫の手で押さえて……」
ついでに孤児院の子どもたちにも包丁の基本を教えていたけど、このままではサマンサさんたち三人は孤児院の子にも抜かれるのではないかというかなりの不安がありました。
とにかく、やってみるしかないですね。




