散歩の八百二十三話 帝国を出発します
そして、いよいよ出発の時間となりました。
僕たちは朝食を食べた後、旅服に着替えて身支度を整えます。
もちろん、忘れ物がないか宿泊していた部屋を確認します。
近い場所ならともかくとして、今回は国を跨ぐ移動だもんね。
「みんな、忘れ物はなかったかな?」
「「「大丈夫!」」」
自分たちの寝ていたところを確認していたシロたちが元気よく手を上げていたけど、念の為にアオにも確認してもらっています。
うん、大丈夫だとアオは触手をふりふりしていますね。
アイも大丈夫だと言っています。
じゃあ、みんなで部屋を出ましょう。
ガチャ。
ガチャ。
「おっ、スーのところも部屋の中の確認が終わったんだ」
「ええ、念の為に忘れ物がないか確認していました」
僕たちが部屋を出た所で、隣の部屋に泊まっていたスーたちも部屋を出てきました。
お互いに忘れ物はなさそうです。
既に随行員の面々は、忘れ物確認を済ませて廊下で僕たちを待っていました。
では、馬車のところまで向かいましょう。
「帝国に来れて、とっても楽しかったね」
「ねー、楽しかったねー」
移動の最中にシロとフランが楽しそうに話をしているけど、色々問題はあったが概ね帝国への訪問は成功したと言えよう。
その証拠に、他の面々も楽しかったといい表情をしていた。
そして、玄関の馬車乗り場に行くと、皇帝陛下を始めとする皇族一家が僕たちのことを待っていました。
僕たちも、皇帝陛下の前に立ちました。
「皇帝陛下、滞在の間色々とお世話になりました。大変勉強となりました」
「スーザン殿下、そしてシュン殿、帝国に来て頂いて本当に良かった。今後の活躍を期待する」
皇帝陛下は、スーだけでなく僕たち全員にがっちりと握手してくれました。
そして、皇妃様たち皇族の方たちとも挨拶とともに握手をしました。
その後、馬車に乗り込みます。
道中は、国境まで交代しながら帝国軍が護衛をしてくれることになりました。
「出発する!」
「「「はっ」」」
そして、護衛を受けながら馬車は出発しました。
指揮官は、謁見でアオと対戦したいと申し出た人じゃないかな。
その他にも、今まで手合わせした軍の偉い人が周囲の護衛をしています。
「「「さよーならー」」」
馬車の窓から、シロたちが皇族の方々に手を振っています。
お互いに、姿が見えなくなるまで手を振り返していました。
何だか、短かったけど濃密な滞在だったね。
さあ、王国に向けて出発です。




