散歩の八百二十二話 皇帝陛下との手合わせ
帝国皇都滞在最終日の朝、僕たちは起きたらまたまた訓練場に行っています。
最終日でも関係なく、帝国軍の偉い人と手合わせをすることになりました。
うん、なんでこんなことになったのだろうか……
しかも、僕に挑んでくる人も数多く並んでいます。
「とー! やー!」
しかも、最終日なのか不明だけど、シロも帝国軍の偉い人の相手をしていました。
それでもズラッと対戦希望者が列を作っているので、更にフランとホルンが相手を務めることになりました。
流石にスーが対戦希望者の相手をするのは無理なので、手短に手合わせを次々とこなしていきます。
バシッ、バシ!
「ぐはぁ!」
もちろんアオと戦いたい人も数多くいるけど、アオも手短に相手との手合わせを行なっていきます。
手を抜くことはなく、かといって強すぎることもなくちょうどいい感じに手合わせしていますね。
「とう、やあ!」
「せい、はあ!」
うん、ラストさんとゴリアテさんは最終日にも関わらずずっと手合わせしているけど、できれば手合わせする軍の偉い人の相手をして欲しい。
そして、僕の手合わせをする人がようやく落ち着いてきたけど、そんな時にとんでもない人がアップを始めていた。
「ふふふ、最後くらい余と戦ってもらおうか」
あの、なんで皇帝陛下は準備万端って感じでいるんですか?
しかも、最初から軍服を着ている辺り、僕かアオと手合わせするつもりだったのだろう。
皇妃様とかもニコニコしているだけで何も言わないし、もはや逃げることは不可能だ。
仕方ない、僕もここはきちんとやろう。
僕は、皇帝陛下と距離を取って拳を構えました。
「「「……」」」
この場にいる人全てが、僕と皇帝陛下の手合わせを固唾を飲んで見守っています。
そして、勝負は一瞬で決着しました。
シュッ、とん。
僕は、一気に距離を詰めて皇帝陛下の腹部に軽く拳を当てました。
皇帝陛下だけでなく、他の人も「えっ?!」って表情をしていました。
皇帝陛下はというと、完全にやられたって表情をしていました。
「ははは! 余に反撃をさせないために、あえて気配を消したのか。これは、中々面白い戦法だ。しかも、全く見えなかったぞ」
皇帝陛下は、笑いながら僕と握手をしていた。
本人としては、完敗って感じなのだろう。
しかし、皇帝陛下は僕と握手をしながらニヤリとしていました。
「シュン殿がとんでもなく強いことはわかった。しかし、もう少し余の相手をして欲しいぞ」
えー!
まさかの連戦ですか?!
周囲を見回しても、諦めてと誰もが首を横に振っていました。
こうして暫くの間、僕は皇帝陛下と手合わせをすることになってしまったのだった。




