散歩の八百十八話 今後の対応は?
体の傷は治っても、心に負った傷は治せません。
なので、そこは食事を食べながらゆっくりと話を聞いてもらいましょう。
そして、スーの抜けた穴の代わりにアオが治療班に入ります。
炊き出しの仕込みも一段落しているし、万が一足りない場合は高速モードで調理すれば大丈夫です。
ということで、奉仕活動も再開しましょう。
「しかし、凄い人の数だなあ……」
「それは、皆さんの治療の腕がいいからですわ。息子も治療の腕はいいのですが、残念ながら体を動かす方が好きみたいです」
皇妃様が遊撃班とともに奮闘しているゴリアテさんのことを見ているけど、確かにゴリアテさんの聖魔法の治療は中々のもののはずです。
皇妃様も、ちょっと複雑な思いですね。
ちなみに、教会には腕のいい治癒師もいるのだけど、それでもスーたちには敵わないそうです。
僕的には、奉仕活動でそこまで全力治療することってないと思うけどね。
そして、スーが僕たちのところに戻ってきました。
虐待を受けていた使用人もだいぶ生気が戻ってきたけど、それでもまだ表情は暗いですね。
今度は、皇妃様が使用人に話しかけていました。
暫くは、偉い人に対応を任せます。
「あっ、この人も悪い人だよ!」
「ヒヒーン!」
「がっ、クソ!」
うん、遊撃班はそのまま任せておけばよさそうですね。
こうして、交代で昼食を食べつつ、奉仕活動は順調に進んで行きました。
そして、あの虐待されていた使用人は、軍の病院に搬送されました。
痩せ細っているから、暫くは療養に専念ですね。
「虐待された使用人が他にいるか、詳しく確認する必要があります。過激派対策が遅れたということもあり、本当に申し訳ないですわ」
撤収作業の際に、皇妃様が申し訳なさそうに話をしていました。
保護された過激派の家族も何かされていた可能性があるけど、対応は帝国に一任します。
流石に、僕たちが軽々しく口を挟むことはできません。
スーもそこは分かっていて、さっき話を聞いた時もひたすら溜まったものを受け止めていただけみたいです。
思えば、フランたちも虐待されていたよなあ。
こうして、とても元気になってくれて本当にありがたいと思うよ。
そして、話は城に戻ってからも続きました。
「明日も、引き続き屋敷の捜索を行う。使用人への虐待は禁止されているが、今一度全関係者に通達を出す。あってはならぬことだ」
皇帝陛下も、語尾を強めて言っていました。
それだけ、過激派が起こした一連のことに憤慨しているのでしょう。
過激派本人が反省する可能性がないことが、一番の悩みになりそうです。




