散歩の八百十七話 教会に急患が
「あっ、悪者発見!」
「ヒヒーン!」
「ぐっ、何でわかった?!」
遊撃班は、いつも通り列に並んでいる犯罪者を捕まえています。
今日が遊撃班デビューのノア君も、頑張ってお仕事をしていますね。
そして、軍の偉い人もいるけど今日は人数が半減しています。
というのも、あの過激派の屋敷の捜索に行っているものもいるからだ。
既に昨日のうちに事件に関わっているものを捕まえていて、事件に関わっていないものを保護しているという。
大きな屋敷なので、捜索には暫く時間がかかるそうだ。
僕たちだったら半日あれば色々なものを見つけることができるけど、他国で起きたことなので手出しは無用です。
ということで、今は目の前のお仕事に注力しましょう。
トントントントン。
「ジョディーさんも、包丁の使い方が上手になったね。これなら、もっと料理上手になるよ」
「あっ、ありがとうございます! 凄腕の料理人に褒められると、何だか自信がつきます」
あの、ジョディーさん、僕は料理人じゃないんですけど……
まさか、一緒に暮らしているジョディーさんに料理人だと言われるとは思わなかった。
でも、ジョディーさんに悪気は全くないんだろうなあ。
アオがちょっと落ち込んでいる僕を見てくすくすとしているけど、気にしても仕方ありません。
治療班の方も順調にいっているみたいだけど、スーが僕と視線が合うと思わず苦笑いをしていた。
僕とジョディーさんとの会話を聞いてしまったんだなあ。
と、ここで急患が発生しました。
教会の前に軍の馬車が停まって、中から数人の獣人の使用人が軍人とともに連れられてきました。
使用人は痩せ細っていて、見るからに体調が良くなさそうです。
「シュン殿、悪いが治療と食事を」
「直ぐに治療します。アオも一緒に着いてきてくれ!」
「まあ、なんということでしょう」
調理のところはジョディーさんに任せ、僕とアオは皇妃様と一緒に使用人のところに駆け寄った。
軽く魔力を流すと、全身にあざがあることが判明した。
シュイン、ぴかー。
僕とアオが手分けして治療をし、なんとか怪我は良くなった。
その間に、軍の偉い人が皇妃様に詳細を報告していた。
「報告いたします。どうやらこの使用人は、他の使用人への見せしめのために暴行を受けていた模様です。更に、食事も差別を受けていたそうです」
「なんという酷いことを。食事を食べさせたら、直ぐに城に連れて行って保護するように」
「はっ」
なんとも頭が痛くなる報告だが、昨日皇帝陛下の誕生日パーティーに姿を現したあの過激派の様子を見ればこういう酷いことをする可能性は十分にあり得る。
そして、ほぼ同じ年のスーも側に来て、使用人と色々話をしていました。




