散歩の八百十五話 まさかの手合わせ
翌朝、まだ疲れがスッキリと取れない体を押して、またまた訓練場に向かいました。
昨日の高速調理は、やっぱり体に応えました。
今日は予備日で何もない予定だから、ゆっくりと過ごしたい。
そう、ぼんやりと思っていました。
ずらずら。
「あの、何で僕に挑んでくる人がいるんですか? しかも、とんでもなく多いのですが……」
「そりゃ、昨日の高速調理を見たからに決まっておろう」
僕の隣にいる皇帝陛下が、さも当たり前だといった感じで話していました。
そうです、アオみたく僕の目の前にたくさんの軍の偉い人が列を作っているのです。
ちゃっかりと、準備運動を終えたシロとフランも列に並んでいた。
「皇帝陛下、もし僕が手合わせを断ったらどうなると思われますか?」
「ははは、もちろん暴動が起きるだろう。まあ、諦めることだな」
皇帝陛下は、僕の肩をポンと叩いてスーと皇妃様のところに向かいました。
スーと皇妃様は苦笑するばかりで助けてくれないし、アオも自身の相手の対応で手一杯です。
ゴリアテさんとラストさんは相変わらず二人っきりで手合わせしているし、他の瑞光院の面々も助けてくれません。
僕は、思いっきりブルーになりながらやる気満々の人々との手合わせをすることになりました。
うん、疲れを残さないように省エネモードで相手をしよう。
こうして、僕はまさかの朝からの手合わせをすることになりました。
「はあ、疲れた……」
「し、シュンさん、大丈夫ですか?」
朝食時、僕は手合わせで疲労困憊となってしまった。
まさか、シロとフランが本気でくると思わなかったのだ。
そのせいで、かなりの体力を使ってしまったのだ。
予想外のことに、スーも僕のことを気遣ってくれました。
「「ハグハグハグ」」
そして、僕の疲労の原因は、美味しそうに朝食を食べていた。
うん、とても満足そうだった。
「本日ですが、スーザン殿下には教会での奉仕活動をお願いしたく。皇妃様も参加予定となっております」
「ええ、分かりましたわ」
ベルルさんが今日の予定を教えてくれたけど、治療だけなら魔力を使うだけだから大丈夫です。
スーも了解している中、別件のことでビックリしてしまった。
「それから、シロ殿とアオ殿が造られた作品につきまして、国立美術館で展示されることになりました。広く、一般市民の方にも見て頂く方向になります」
「おおー!」
実は昨日の皇帝陛下の誕生日パーティーで作品が展示されていたのだけど、かなり高評価だった。
キチンとした保存処理をして、展示されるそうです。
シロたちが思わず大喜びしていたけど、町の人にも喜んでもらえたら嬉しいですね。




