散歩の八百十三話 パーティーの再会
とりあえずしおしおになった五人を治療しないといけないと思い、僕たちは五人の側に駆け寄った。
ここは役割分担して治療しよう。
「僕とアオが回復魔法系の回復と状態異常回復をかけるから、スーとホルンに聖魔法系の回復と状態異常回復をお願い。ヴィヴィは、生活魔法を使ってね」
「「「はい!」」」
アオも、触手をふりふりとしながら了解したと合図していました。
では、一気に治療しちゃいましょう。
シュイン、シュイン、シュイン。
「おお、何という魔法陣の数なのだろうか」
「流石は、闇組織を相手にしている強者だけある」
五人を囲むように複数に魔法陣が出現すると、来賓から多くの声が上がった。
中には、僕は料理人じゃなかったのかという声も上がっていた。
いやいや、僕は冒険者が本職ですよ。
シュイン、ぴかー。
「「「うぐぐぐ……」」」
とりあえず、しおしおのままだけど魔獣化の薬の影響は治療できた。
できる限りの治療をしたし、僕たちができるのはここまでです。
後は、帝国側の判断を待つ事になります。
すると、皇帝陛下がおもむろに立ち上がって言葉を発した。
「手に余る力を手にしようとした結果が、我々の目の前にある。主義主張は大いに結構だが、手段を間違えてはならぬ。皆も、欲望に飲み込まれないように自分自身を戒めるように」
「「「はっ」」」
全ての来賓が立ち上がって、皇帝陛下に頭を下げました。
その間に、五人は近衛騎士に担架に乗せられて連行されて行きました。
自らの間違った欲望の結果を、しっかりと自覚して欲しいです。
では、改めて誕生日パーティーを再開します。
すると、皇帝陛下が何かをつまんで口の中に入れました。
あっ、あれってホルンの作った激辛まんまる焼きの余りじゃないかな……
「うむ、確かに辛いが食べられない辛さではないぞ。生地に出汁を使っていて、肉も甘辛く煮てあるな」
獣人って凄いって、改めて思いました。
あの激辛まんまる焼きを普通に食べているよ。
他の獣人たちも普通に食べているし、ホルンにおかわりを要求していた。
うーん、実は辛くなかったりして。
そんなことはないだろうと思っていたら、つまみ食いをしてしまった人が。
ひょい、パク。
「「あーーー! からーい! あーーー!」」
なんと、シロとフランが激辛まんまる焼きをつまみ食いして、あまりの辛さに床にのたうち回っていました。
急いで水を飲ませながら回復魔法をかけたけど、それでもまだ口の中がヒリヒリしていたみたいです。
二人は北の辺境伯領でもデスカレーを食べて同じことになったけど、こういうのは好奇心で食べていいものじゃないですよ。




