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【コミカライズ化】異世界のんびり散歩旅  作者: 藤なごみ


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散歩の八百十話 挨拶と毒見

 フランはというと、幾つかのバリエーションでまんまる焼きを作っていた。

 生地が辛いもの、中身の具が辛いもの、普通のものを作っていた。

 こちらも試し焼きを作っていたので、とてもいい匂いが周囲に漂ってきた。


「「「じー……」」」


 うん、挨拶をする人たちはキチンと皇帝陛下の方を向きましょうね。

 僕たちの料理風景をじっと見ていると、偉い人に怒られますよ。

 というか、皇帝陛下とスーも早く僕たちの作った食事を食べたいと目で訴えていますね。

 では、出来上がった試食を毒見役の犬獣人の近衛騎士に渡します。


「それでは。うお、こ、これはなんという旨さなのだろうか!」


 近衛騎士が興奮して食べている姿に、皇帝陛下が何でお前が食べていると目で訴えているけど、毒見役は必要だから我慢して下さい。

 半生で干したので旨味が濃縮されていて、焼いただけでもとても美味しいです。

 更に、漬物みたいなものも売っていたので、刻んでタルタルソースに混ぜています。

 取り敢えず、人数も多いので先にこちらを焼いていきます。

 後は、香辛料に漬けたピリ辛唐揚げに、タンドリーチキンもどきを作る予定です。


「おお、こちらも美味ですな。酒に合う辛さですぞ」


 ホルンのまんまる焼きも、毒見役の近衛騎士に大好評でした。

 味変を楽しめるので、そこも面白いみたいですね。

 毒見役の近衛騎士が羨ましいのか、別の近衛騎士が毒見役を代われと言っていますね。

 念のためにと言われてしまい、僕とホルンは別の近衛騎士にも出来上がった料理を手渡した。


「うお、こ、これは凄い美味いぞ。いやいや、毒見なのだからしっかりと食べなければなりませんな」

「うむ、体調も問題ないですぞ。勤務中でなければ、お酒が欲しくなる旨さですな」


 料理を食べてご満悦な近衛騎士を、皇帝陛下が射殺しそうな程の視線で見ていました。

 あと少しで挨拶も終わりますから、直ぐに食べられるように準備をしますよ。

 スーだけでなくシロたちや来賓も早く食べたいと熱い視線を送って来ているけど、一番最初に皇帝陛下が食べてからですよ。

 全員に直ぐに出せるように、数を用意してありますからね。


「はあ、疲れた。これ程まで挨拶が長いと思った事はないぞ」

「私もですわ。シュンさんの料理はとても美味しいですし、ホルンちゃんの料理の腕もとても良いものがあります」

「うむ、早く食べたいものだな」


 ようやく挨拶を終えた皇帝陛下とスーが、僕とホルンの方を見て話をしていました。

 僕とホルンは、ちょっと苦笑しながらも料理を乗せた皿を手にして二人のところに向かいました。

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